【コラム10:学習の転移―「知っている」から「活かせる」へ】

明日から第43回日本集中治療医学会学術集会です。学会は、新たな知見も多く得られるので楽しみですね。今回は、学会などで得た知見を、いかに実践で活かすかについてです。

ある経験や学習が他の学習に対して促進的に作用すること(例えば、学会や研修などで学んだ知識やスキルを仕事に役立てること)を、専門用語では「学習の転移」と言います。学会や研修で「いろいろ学べた」と思っても、実際のところ実践に役立てることができていなかったり、その学習の効果を持続させることができていなかったりしませんか?「転移」というのは簡単ですが、実際にはいろんな難しさがあり、「研修で学んだことの60%から90%は仕事には応用されない」と述べている文献もあります。転移の障害要因としては、職場の雰囲気が研修の意義を認めていない、学んだことを試す機会や時間・資源がない、業務システム・プロセスが学んだことに合致していない、古い慣習を変えることができない等があるようです。(この辺りの転移に興味がある方は、中原淳先生のページにわかりやすく書いていますhttp://www.nakahara-lab.net/blog/2014/01/post_2167.html
人材育成に携わる人たちは、転移の障害要因のことを踏まえ、学習環境を整えたり、教え方を工夫する必要がありますが、学会や研修に参加する人側にはできることはないのでしょうか?
もちろん、あります!その1つが、「自主性」と「メタ認知」を持つことです。(メタ認知とは、自分の思考や行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること」です。ちょっと小難しいですね)。では、具体的にどうすれば良いのか。それは、「自分が今学習している内容や方法に、どのような意味があるのか考える」ことです。言い換えると、「学会や研修で聞いている内容や方法は、自施設で自分がどのような場面で、どのように使えるか」と常に置き換え考えながら聴くことです。

学会に参加して帰るだけではもったいない。学会で得られる知見を実践に活かせるよう、明日の学会では、「自施設での実践に活かすなら具体的に」と置き換え考えながら聴講してみてはどうでしょうか。

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