<文献紹介第29弾>
「ICUダイアリーはPICSに有効!?」
ICUダイアリーとは、簡単に言うと「ICU滞在中の日記」です。
どんな内容が書かれているのかというと、なぜICUに入室したのか、どんなことが起こっていたのかなどを写真を添えて記載されています。もちろん、すべてを記載するわけではありません。重症化している時は、「治療をしていますが、今はその反応を待っているところです。」などの一文のみの時もあります。ですが、「今日はリハビリで一緒に歩くところまで行きました!」など、患者と回復に向かう様子が記載されていることが多いのです。
では、ICUダイアリーを行っている施設ではすべての人に記載しているのでしょうか?
ICUダイアリーは長期ICU入室患者で使用されていることが多いようです。
では、そもそもなぜそのようなことが行われるようになったのでしょうか。
その起源は、スカンジナビア半島(ノルウェイやスウェーデン)で1980年頃から行われるようになりました。
このあたりの国は質的研究で有名で、どのように関われば患者がハッピーになるのかを質を追求していました。そのケアの一つにこのICUダイアリーがありました。
重症患者はICU滞在中鎮静状態であり、鎮静を切っても記憶が途絶えていることがあり、それを埋めるかのように妄想的記憶というものが出てきます。妄想的記憶とは、現実では起こっていないようなことがあたかも実際に起こったかのように記憶に残っている状態です。なので、「殺されそうになった!」「拷問にあった!」など、患者さんがICUを退室された後、もしくはICU入室中(鎮静を切ってから)話されることもあるでしょう。これらは鎮静剤(特にベンゾジアゼピン系薬剤)や治療、疾患により引き起こされるものです。つまり、患者の性格や知能的なものでそうなっているのではなく、病気や治療によって引き起こされているのです。
この妄想的記憶を埋めるためにICUダイアリーが有効ではないかと言われています。具体的には、PICSのPTSDや不安、うつ症状に対してこれらを測定するスケールが減少した(上記症状の重症度が下がった)という報告が散見されています。
ただ、私としては、妄想的記憶が埋められるだけがICUダイアリーのいいところではなく、看護師が患者を想う気持ちを患者に可視化している点が有効なのではないかと勝手に考えています。(あくまで主観です)。なぜなら、誰かにメッセージカードをもらった時、心が温まる人は多いのではないのではないでしょうか。看護師が患者を想う気持ちがメッセージや写真とともに伝えられ、それがスピリチュアルなマインドに働きかけるのではないでしょうか。私はICUは治療だけをする場所ではないと思っています。入室中の患者のメンタルケアや病棟への架け橋を行う場所でもあると思っています。(このあたりはまだ研究報告はありませんが、、)
ICUダイアリーはヨーロッパを中心に行われるようになり、今やアメリカやオーストラリアまで広がっています。今回のアンケートでも使用されている施設もあるようですね。ICUダイアリーのサポートも充実してきています。英語ですが、「ICUダイアリーの始め方」というものがあります。興味のある方は是非一度覗いてみてください。どのような内容を書けばいいのか、注意点は何かなど記載されています。URLは、
http://www.icu-diary.org/diary/Support.html
ICUダイアリーはPICSに対して有効なツールですが、アウトカムがPICSのみではなく、患者の心に届けられるようなケアができれば良いのではないでしょうか。それがICUダイアリーという形にとらわれるのではなく、退室後の患者に会いに行ったりするなど私たちにできることはたくさんあるのではないでしょうか。<>ICUダイアリー

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