今回ご紹介する文献は2017.11月のInteractive Care Medに掲載された

【Ten tips for ICU sedation/ICU:鎮静10のコツ】です!

 

この文献で書かれていた10のコツは、

  1. 痛みの評価と管理を優先すること
  2. 挿管後、早期に覚醒を目指すこと
  3. 薬理的介入と非薬理的介入を患者の症状に合わせて行うこと
  4. 鎮静は早めに減量すること
  5. オピオイド/鎮静剤を使用中は妥当性が示されたツールの使用と明確な目標を定めること
  6. 患者が安楽で、かつ治療に参加できるように非薬理的介入を行うこと
  7. ベンゾジアゼピンの使用(特に輸液での使用)は避けること
  8. ベンゾジアゼピンやオピオイドに対する医原性の離脱症状を確認すること
  9. カテーテル・ルート類は早期に抜去し、身体拘束を避けること
  10. 夜間の鎮静では何が必要かを考えること

です。

 

以下に、この文献で書かれていた内容を項目毎に簡潔にまとめ、私見を加えてご紹介させてもらいます。10もコツがあるため長文で申し訳ないのですが、ご興味のある方はお付き合いください。

 

1.痛みの評価と管理を優先すること》

ここで強く言われていることは、“まずは疼痛を取り除くことが重要だ”ということです。その理由としては、苦痛や不穏が軽減する可能性がある、鎮静剤の減量、交感神経系の興奮抑制などが挙げられています。これらに加えてオピオイド依存を避けるために、オピオイド以外の鎮痛剤を併用することも重要であると書かれています。

何よりも、痛みを伴ったままベッドの上で動けずに過ごすことは、苦痛以外のナニモノでもないですよね。

 

2.挿管後、早期に覚醒状態(awake)を目指すこと》

awakeを推奨する理由として、人工呼吸期間の延長や死亡率の増大などが挙げられています。また、awakeの弊害として不穏を起こす可能性が挙げられますが、非定型抗精神病薬の使用やプロポフォール、デクスメデトミジンの使用を工夫することで凌げるかもしれない…と記載されていました。

awakeが上手く維持できれば、会話のキャッチボールができ、患者さんの気持ちに、更に寄り添えるような気がします。

 

3.薬理的介入と非薬理的介入を患者の症状に合わせて行うこと》

疼痛・不安・不眠などは、クリティカルケア領域でよく遭遇する訴えではありますが、この文献でも“それらは患者・家族からしたら大問題だ!”と強調されています。この問題を解決するためには、やはりawakeな状態で患者・家族に安心感を得てもらうことが必要です。加えて、症状に応じて薬剤を使用することが重要性であるとも言及されています。他方で、薬剤だけに頼るのではなく「非薬理的な介入」を行うことで薬剤の使用量を減らすことも重要で、これは薬剤の効果が増すことにもつながると示唆されています。

 

4.鎮静は早めに減量すること》

深鎮静が必要な場合(たとえば、ICPのコントロールが必要な場合、呼吸筋使用の抑制が必要な場合、腹臥位が必要な場合など)を除いて、鎮静剤の過剰投与は避けるべきであると言及されています。さらに、深鎮静が必要な場合は、最低でも毎日の評価が必須であると強調されています。

漫然と深鎮静を許容するのではなく、その深鎮静は本当に必要なのかを考える必要がありますね。

 

5.オピオイド/鎮静剤を使用中は妥当性が示されたツールの使用と明確な目標を定めること》

患者中心の治療を行うためには、妥当性が検証されたツールを用いて疼痛・不穏・せん妄を管理する必要があります。疼痛の評価は患者の主観が第一となりますが、コミュニケーションがとれない場合ではBPSやCPOTが信頼性・妥当性が検証されたツールとなります。また、不穏について(鎮静の評価)はRASSやSASが信頼性・妥当性の高いツールとして挙げられています。また、各勤務帯で目標の鎮静レベルを確認し評価することの重要性についても言及されています。

 

6.患者が安楽で、かつ治療に参加できるように非薬理的介入を行うこと》

ICUを退室した患者の多くは、ICU滞在中に騒音・不眠・見当識障害などがあったことが報告されています。これらはせん妄を促進する因子と成りうるため、非薬理的介入を行うことが推奨されています。ここでは、非薬理的介入として、昼夜のリズムを整える、安心させるための行為や声かけを行う、音楽療法や家族の支援を得ること、思い入れのある品物などを持ってきてもらうことなどが挙げられていました。

患者さんの安楽とエンゲージメント(治療への参加)を常に考えて、ケアに望む姿勢が大切だということになりますね。

 

7.ベンゾジアゼピンの使用(特に輸液での使用)は避けること》

死亡率に関して調査された比較的質の高い研究では、ベンゾジアゼピンの方がプロポフォールよりも悪影響を与えることが示されています。また、ベンゾジアゼピンの使用は人工呼吸期間やICU滞在日数の延長にも関連していることが示されています。一方で、ベンゾジアゼピンの適応例としては、緩和が必要な患者、発作を起こしているとき、処置時の鎮静、アルコール離脱症状が起こっているときなどがあるようです。

要は「ベンゾジアゼピンは必ずしも〈悪〉ではないが、適応を考えて、慎重に使用しましょう」ということでしょうね。

 

8.ベンゾジアゼピンやオピオイドに対する医原性の離脱症状を確認すること》

これらの薬剤の使用期間が長くなることや急な減量をすることなどは、不穏やせん妄などの有害事象に繋がることを知っておく必要があります。また、オピオイドの離脱に関する効果的なツールは成人領域では確立されていません。そのため、急な中断を避け、徐々に減量することや経腸からの投与へ早期に移行すること、症状のモニタリングを行うことが大切になるようです。

 

9.カテーテル・ルート類は早期に抜去し、身体拘束を避けること》

カテーテル類やチューブ類(静脈内ルート、胃管、膀胱留置カテーテルなど)は早期離床を妨げるものになります。そのため、不要なものは早めに抜去することが大切です。また、身体拘束は患者・家族の心理的な苦痛の増大や不穏の要因、計画外抜去の予防になるとは言えません。そのため、これらは必要性を評価しながら使用すべきものであると強調されています。

やはり、漫然と拘束具を使用することを避け、ルート類があることも患者にとっては拘束につながるということを理解しておくのが重要ですね。

 

10.夜間の鎮静では何が必要かを考えること》

人工呼吸管理中の患者では、夜間の入眠目的で高用量の鎮静剤が投与されることがよくあります。しかし、その弊害としてSBTに失敗することが多くなったり、抜管までの期間が延長することが指摘されています。そのため、睡眠を促進する目的であれば、メラトニン受容体作動薬(日本ではラメルテオン=ロゼレム®)や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使用する方が良いとされています。

看護師側から、ロゼレム®やベルソムラ®の使用をお願いすることが多くなっているような気もしています。

 

今回、PADガイドライン(2013)から4年経った現在でも、同じことが推奨されていることを改めて知りました。マンパワー不足や勤務形態、個々のスタッフの意識の問題などネガティブなことを言い出すと切りがありませんが、患者中心を念頭に置いて、自分自身の看護を振り返るいい機会になりました!

長々と書き連ねましたが、皆さんの明日からの実践にお役立ていただけると幸いです。

 

画像元:

[http://www.alsventilation.com/bcv-can-help/life-can-better-bcv/]

[https://www.visioncritical.com/customer-loyalty-strategies/]

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