【KCCC文献紹介 第60弾:抗菌薬投与のタイミングは敗血症患者の予後に影響するのか?】

Ithan D. Peltan et al.(2019)ED Door-to-Antibiotic Time and Long-term Mortality in Sepsis. CHEST. 155(5); 938-946

【背景】
抗生物質の投与時期が敗血症の転機に与える影響については、研究によって結果が矛盾するため、議論が分かれたままである。
【目的】
本研究では、敗血症で救急搬送された患者の初回抗生物質投与まで時間と長期死亡率との関連を調査した。
【方法】
本研究は、2013年から2017年までに4つの病院に入院した、非外傷性で成人の敗血症救急患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。初回の搬送のみを対象とした。多変量ロジスティック回帰を用いて、初回抗生物質投与までの時間と1年死亡率との調整済み関連性を解析した。二次解析では、適応によるバイアスを軽減するために、代替となる抗生物質タイミング測定(1〜3時間以内の抗生物質投与と、1時間~6時間までの抗生物質投与の個別比較)、代替となる結果(病院、30日および90日の死亡率)、および代替の統計方法を用いた。
【結果】
参入基準を満たした患者10,811人の中で、平均抗生物質投与時間は166分(IQR, 115-230分)であり、1年死亡率は19%であった。調整後、救急搬送されてから抗生物質開始までの各追加時間は、1年死亡のオッズ比を10%ずつ増加させていた(95%CI, 5-14、P <0.001)。
1時間間隔での抗生物質投与タイミングをそれぞれ1時間未満の抗生物質投与タイミングと比較した場合、関連性は線形のままであり、病院死亡率、30日死亡率、および90日死亡率で同様であった。1年死亡率は、初回抗生物質投与まで時間が3時間以上の場合は、3時間以下の場合と比べて1年死亡率が有意に高かった(調整後OR, 1.27、95%CI, 1.13-1.43)が、1時間以上の場合は1時間以下の場合と比較しても有意差はなかった(調整後OR, 1.26、95%CI, 0.98-1.62)。
【結論】
救急外来での抗生物質開始時間の遅延は、長期的かつリスク調整後の敗血症死亡率の臨床的に重要な増加と関連している。

【私見】
敗血症の抗菌薬投与は、救急外来到着から1時間以内がゴールドスタンダードと言われていますが、実際はそんなに早く投与できていないのが現状?
これは、皆さんも肌感覚でもよく分かる結果だったのでは…?
やはり、1時間以内というゴールドスタンダード自体が無理ゲーということなのか…。
そう考えると、3時間を境に死亡率に有意差が出ていたという今回の結果は新たなゴールドスタンダードにつながる?

死亡率をアウトカムにしていることは、臨床医学研究の常だけれど、敗血症による合併症の有無なども知りたいところ…。
敗血症に対する抗菌薬投与の遅延とQOLとの関連も調査が望まれますね。

抗菌薬投与のタイミング
A:1年死亡率 B:院内死亡率 C:30日死亡率 D:90日死亡率

画像元:https://yoshiya-hasegawa.com/blog/pinpin-korori/effect-and-type-of-infusion/

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