Guidelines for Family-Centered Care in the Neonatal, Pediatric, and Adult ICU.

Crit Care Med. 2017 Jan;45(1):103-128.

PMID: 27984278

Abstract

【目的】

すべての年代の患者家族のケアをする集中治療グループのために、家族中心のケアを最適化するための文書を作成すること。

【方法】

ガイドライン作成の枠組みとして、臨床ガイドラインの作成には医療専門家協会評議会の原則を使用した。ガイドライン作成にあたり、ガイドライン開発、エビデンス分析、family-centered careの専門知識をもつ29名からなる国際的な集学的チームを立ち上げた。

“Family(家族)” や “Family-Centered Care(家族中心のケア)”の定義

Family(家族)は、患者によって定義される。未成年者、意思決定能力のない患者の代理意思決定者であり、この文脈では家族は患者と関係があるかもしれないし、そうでないかもしれない。彼らはサポートを提供したり、患者にとって重要な関係をもった個人である。

Family-centered care(家族中心のケア)は、家族のニードや価値に敬意を表して対応した個別的で尊厳を持ったヘルスケアである。

【結果】

スコーピングレビューでは683の質的研究が抽出された。228の研究は主題分析や人口、介入、比較、結果質問の作成に使用された。システマティックレビューでは、重複除外後の4,158件、76の追加報告がアラートとハンドサーチにより抽出された。238の報告が基準を包含していた。

研究グループは、家族成員とのコミュニケーション、家族の面会、家族支援、ICUチームメンバーへの相談、調整可能な環境上の問題などのトピックス(非常に低いエビデンスレベルのものから中等度のエビデンスレベル)から23の推奨を作成した。

【結論】

これらのガイドラインは、ICUにおけるfamily-centered careにとっての最良な実践をエビデンスに基づいて特定した。しかし、すべての推奨においてエビデンスレベルは弱い。

【family-centered careのrecommendation】

1. ICUにおける家族の面会

1.1.重症患者の家族に対して、彼らのニーズである開放されたフレックスなベッドサイドでの面会を提供する。同時に、家族満足改善のために、家族らとの関係性の構築やスタッフからの支援提供・強化をおこなう。(2D)

1.2. 重症患者の家族に対して、コミュニケーションにおける満足や家族との関係性を深めるために多職種回診参加への選択肢 を提供する。(2C)

1.3.重症患者の家族に対して、家族支援のためのスタッフ同席のもと蘇生治療に立ち合い可能であるという選択肢を提供する。(2C)

2. 家族支援 

2.1.重症患児(新生児)の家族に対して、ICU在室中や退室後の親としての自信や能力、介護役割、精神的安寧などの改善に向けた重症患児のケアや支援における援助について指導をおこなう。(2B)

2.2.家族教育プログラムを臨床での看護ケアの一部 とする。これらはICUで過ごす家族にとって、不安や抑うつ、PTSD、総合的なストレスなどの減少や家族満足の改善において、有益な効果が示されている。(2C)

2.3.家族満足の改善、親役割ストレスの減少、抑うつ減少のため、NICUにおけるピアサポートを実施する。(2D)

2.4. 家族の不安やストレス減少のため、ICU環境についての情報としてICUリーフレットを提供 する。(2B)

2.5.家族の不安や抑うつ、PTSD減少のためにICU日記 を実施する。(2C)

2.6.家族に対して、ICUにおける承認された意思決定支援ツールの使用を行う。このツールは、コミュニケーションや包括的医療の質をあげ、家族の意思決定上の葛藤を減少させるために存在する。(2D)

2.7.終末期対応と考えられているICU患者の代理人に対しては、臨床医と家族のコミュニケーションを促進するためのカンファレンスにおいて、VALUEのようなコミュニケーションアプローチ を用いる。(2C)

3. 家族成員とのコミュニケーション

3.1.ICUの通常業務として家族を含めた多職種カンファレンスをおこなうことは、コミュニケーションにおける家族満足の改善、臨床医の信頼、臨床医と家族間のコンフリクトの減少につながる(2C)

3.2. ICUにおける臨床医は、家族とのコミュニケーションやアクティブリスニング、共感の表現、家族を思う姿勢、意思決定のサポート時のコミュニケーションにおいて、VALUEのような構造化されたアプローチを用いるべきである。さらに、家族の不安、抑うつ、PTSD、家族満足の改善のために、死にゆく患者の家族へ死別パンフレットを提供することを提案する。(2C)

3.3.ICUの臨床医は、臨床医の自己効力感と家族満足改善のために、クリティカルケアトレーニングの一要素として家族中心型コミュニケーショントレーニングを受ける。(2D)

4. 特定の相談やICUチームメンバーの活用

4.1.率先した緩和ケアの相談は、重症患者に対してICUや在室日数や在院日数短縮を与える(2C)

4.2.倫理コンサルテーションは、臨床医と家族の間で価値の対立があるような重症患者にとって、ICU在室日数や在院日数の短縮を与える(2C)

4.3. NICUに入院している早産児の母親のアウトカムを改善するためのマルチモデルである認知行動療法(CBT)ベースのアプローチを具体的に組み込むために、心理学者の介入を提供する。目的にあったビデオや読書資料は、ICUに入院している早産児の母親に心理的なサポートを提供する。(2D)

4.4.家族満足の改善のために家族会議に参加するなど、MSWを多職種チームに加える(2D)

4.5.家族満足や臨床医とのコミュニケーション、精神症状の減少、ICU在室や在院日数が長期化することでのコスト削減などのために、ICU在室中の家族に対して家族ナビゲーター(ケアコーディネーターまたはコミュニケーションファシリテーター) を配置する(2C)

4.6.宗教家やスピリチュアルアドバイザーのスピリチュアルサポートは、ICU患者の家族へ表現欲求を満たすスピリチュアルケアや認定基準要件を提供する(2D)

5. 調整可能な環境面の問題

5.1.生命維持撤退の間、十分に保証され標準化された鎮痛鎮静プロトコルを用いる(2C)

5.2. ICUや院内の滞在日数の減少やICUにおけるコミュニケーションの質改善のための包括的なプログラムの一環として、家族成員への継続したサポート提供やケアの目標についての意思決定に看護師を含める(2D)

5.3.病院の実施施策として、家族の経験向上のためにICUにおけるfamily-centered careに努める(2C)

5.4.騒音の有害性は示されているが、有効な対策のエビデンスは不足している。患者家族の満足改善のために、ICUでの騒音減少や環境衛生的な実践、個室の使用がおこなわれている。(2D)

5.5.睡眠不足の影響を軽減するために、家族の睡眠の考慮や睡眠面の介入をおこなう(2D)

【私見】

全体通してエビデンスレベルは弱いものの、日本では積極的になされていない「自由な家族面会」や「ICU日記」、「家族を巻き込んだ多職種カンファレンス」を推奨するなど、臨床の指針とするには十分なガイドラインだと感じます(欧米での家族を巻き込んだカンファレンスは、ベッドサイドでの情報共有を目的としたカンファレンスが主ですが…)。

自施設でも、“家族も患者を取り巻くチームメンバー”であることをスタッフに伝えています。横断的にどの病期にも患者に寄り添うことができるのは家族だけですからね。とても参考にしているガイドラインです。

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