〈KCCC文献紹介 第70弾:胸腔ドレーン抜去時に、アイスパックはじめませんか?〉

Comparison of Ice Packs Application and Relaxation Therapy in Pain Reduction during Chest Tube Removal Following Cardiac Surgery

MA Heidari Gorji, M Bagheri Nesami, et al. N Am J Med Sci. 6(1): 19–24,2014.

PMID: 24678472

【テーマ】

心臓手術後の胸腔ドレーン抜去時の疼痛緩和に対する、アイスパックとリラクゼーション法の比較

【背景】

胸部ドレーン抜去(CTR)は、集中治療室の患者にとって、最も辛い経験の1つである。

【目的】

本研究は、冠動脈バイパス術を受けた患者のCTRの痛みに対する冷却療法とリラクゼーションの効果を比較することを目的とした。

研究デザイン】一重盲検化無作為化比較試験

【期間】2013年2月〜3月

【対象】イランのサリにある心臓センターの​​心臓手術後の患者80名

組み入れ基準:参加意思、18歳以上、意識清明、VASを使用できる、CABGおよび胸腔ドレーンが初めての経験、BMI30kg/m2未満、24時間以上の2本の胸腔ドレーンの使用(縦隔ドレーンと左胸膜ドレーンなど)

除外基準:同意なし、冷却に対する過敏性、視覚および聴覚障害、介入4時間以内のオピオイドの使用、人工呼吸器中、薬物依存。

【方法】

患者は、冷却療法群、リラクゼーション群、コントロール群の3郡に無作為に割り当てられた。疼痛評価は、CTR前、CTR直後、CTR15分後にVAS0(痛みなし)〜100(耐え難い痛み)mmで評価した。

データ分析は、t検定、カイ2乗、一般化推定方程式および反復測定分散検定を用いた。

冷却法:0℃の温度の冷却用ゲルパック(イランのBespar Javidan Ghostar社製)用い、脱衣中の胸腔ドレーン周囲を冷却し、赤外線温度計で測定した。次にガーゼの中で捻った3つの冷却パック(8×10 cm)をドレーンチューブの周囲において、10分後、胸腔ドレーン周囲の温度が13℃に達した後に除去した。

リラクゼーション法:静かに深呼吸することを勧める。15分間目を閉じて、鼻から落ち着いて深く吸い込み、半分閉じた唇から落ち着いて息を吐き出す。この方法の5分後にチューブを抜去した。

【結果】

被験者の平均年齢は58.11±9.53歳(コントロール群58.48±9.78歳および実験群は57.75±9.38歳)であった。対照群のドレーン持続期間は41.97±2.35であり、実験群のドレーン持続期間は42.17±2.35(P = 0. 7)であり、両群間に差はなかった。

CTR前の疼痛強度に有意差はなかった(P =0.84)。CTR直後には治療群(冷却群およびリラクゼーション群)とコントロール群との間に有意差があった(p=0.001)。リラクゼーション群と冷却群の間に有意差はなかった(p=0.6)。

【結論】

リラクゼーション法および冷却法に関しては、CTRによる疼痛の軽減に対して比較的等しい効果を示した。したがって、副作用がなく、使いやすく、そして効果的であるため、経済的な理由でリラクゼーションを使用することが、著者によって実践者に推奨されている。

【私見】

 初夏に入り、そろそろ冷やし中華もおいしい季節ですね。

考察でも述べられているように、「副作用なし」、「使いやすい」、「効果的」、「安い」の3拍子ならぬ4拍子揃っております。

担当の医師とドレーン抜去の時間を調整して、アイスパックで冷しながら、リラクゼーションをはじめてみませんか?

【ちょっと一言】

 本研究は、PADISガイドライン2018の中で、紹介されていた論文です。実は、PADガイドライン2013年の頃から、「①成人ICU患者で胸腔ドレーン抜去時の痛みを軽減するために、先行性鎮痛や非薬理学的介入(例えば、リラクゼーション)を施行することを推奨する(+1C)」とあったんですね。この「+1C」というのは、数字が推奨度を、アルファベットがエビデンスレベルを表しています。推奨度は、明らかにデメリットよりもメリットが上回るだろうとのことで、「お勧め」レベルです。一方、エビデンスレベルは、A~Cの3段階の中で、残念ながら最下位ということになりますが、目のつけどころはいいので、今後の研究いかんによっては、レベルアップも可能という期待が込められています。そのような視点でみていくと、本研究は2014年に発表されているので、PADガイドラインが発表された2013年以降のものですので、継続的に研究が行われていることが分かります。

 このように、少し視点を変えて論文を見てみると、目の前の患者さんに少しでも有益になることを探求し続ける世界中の仲間と繋がっていることを実感させてくれますね。論文って素晴らしい!

3フェーズにおける3群間の疼痛レベルの平均値の比較

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