Guérin C, Reignier J, Richard JC,et al:Prone Positioning in Severe Acute Respiratory Distress Syndrome.N Engl J Med. 6;368(23):2159-68. 2013.

Abstract

背景

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者を対象とした以前の試験では、転帰に対する人工呼吸補助中の腹臥位の有益な効果を示すことができなかった。重症ARDS患者の転帰に対する腹臥位ポジショニングの早期適用の効果を評価した。

方法

この多施設共同前向き無作為化比較試験では、重症ARDS患者466人を少なくとも16時間の腹臥位セッションを受けるか仰向けのままにするかで無作為に割り付けた。腹臥位に割り付けられた患者は、少なくとも1時間以内に腹臥位セッションを開始した。

重症ARDSの定義はP/F比が150mmHgを下回っている状態とし、FiO2は0.6以上、PEEP:5cmH2O以上、一回換気量は予測体重当たり6ml/kgに近い値とした。メインアウトカムは、患者割り付け後28日以内に何らかの原因で死亡した患者の割合とした。

結果

合計237人の患者が腹臥位の群に割り当てられ、229人の患者が仰臥位の群に割り当てられた。 28日死亡率は腹臥位群で16.0%、仰臥位群で32.8%であった(P <0.001)。腹臥位による死亡のハザード比0.39(95%信頼区間[CI]、0.25から0.63)。未調整の90日死亡率は、腹臥位の群で23.6%、仰臥位の群で41.0%(P <0.001)であり、ハザード比は0.44(95%CI、0.29から0.67)であった[SOFAスコアで調整されたハザード比は0.48(95%CI、0.32から0.72)]であった。その他、有意差があった項目として、90日後の気管チューブ抜去率は腹臥位群で80.5%、仰臥位群で65.0%であった(P <0.001)。28日間の中で人工呼吸を必要としなかった日数は、腹臥位群で14±9日、仰臥位群で10±10日であった(P <0.001)。90日間の中で人工呼吸を必要としなかった日数は、腹臥位群で57±34日、仰臥位群で43±38日であった(P <0.001)。

心停止が仰臥位群において高かったことを除いて、有害事象の発生率は2群間で有意差はなかった。

結論

重症ARDS患者では、長期間の腹臥位ポジショニングセッションの早期適用により、28日および90日死亡率が有意に減少した。

私見

この論文は、過去に一時脚光を浴びたものの腹臥位療法の信頼性が確立されずにいた中で、改めて腹臥位療法という管理にスポットライトを当てるきっかけとなった論文です。

皆さんもどこかで目や耳にしたことがあると思います。

さて、なぜこの論文を改めて紹介するかというと、この論文の中で紹介している腹臥位療法の「方法」について注目したからです。記述の中では、研究に参加した施設には腹臥位療法のガイドラインが共有されたとされています。では、その方法とはどのようなものか調べてみると、“シーツを用いた腹臥位療法手順”のようでした。さらに調べてみると、患者を側臥位にしてシーツを交換したうえで腹臥位になる方法(NEJM videa)をはじめ、古いシーツと新しいシーツで患者をサンドして(す巻きのようにして)腹臥位にする方法などがありました(prone positionやprone tutorialで動画検索すると複数hit)。自施設では、この研究論文と腹臥位実施方法動画をもとに腹臥位療法手順を作成し、実践しています。これらは導入前に多職種で動画を閲覧し、テスト実施をして、方法についてのコンセンサスを得たうえでおこなっているので安全に実施できています。

結果、私見として何が伝えたいかというと…論文にある有益な情報は、それらを実践に落とし込んで初めて有意義なものになると考えます。論文のエビデンスを基にディスカッションをする、あるいはエビデンスがあるといわれていることを標準治療・標準看護として落とし込む、これこそが重要だと考えます。何かを得たいと思いながら文献紹介を閲覧している素晴らしいモチベーションを備えている皆さん、表題のように皆さんの施設ではどのように腹臥位療法を実施していますか?ひいては、皆さんはどのように論文で得た知識を実践に落とし込んでいますか?

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