KCCC文献紹介 第74弾:ICU入室患者の苦痛緩和にVRは有効か?無効か?

Mosso-Vázquez JL:Virtual reality for pain management in cardiac surgery. Cyberpsychol Behav Soc Netw. 17(6):371-8.,2014.

【テーマ】

心臓外科術後の疼痛管理のための仮想現実(VR)

【目的】

VRによって気を紛らわすことで痛みが軽減するか?

【対象】メキシコの心臓外科術後24時間以内の67名

 組み入れ基準:意識クリア、麻痺なし、視野障害なし、気管挿管なし、血行動態安定

【方法】

30分間のVRシミュレーションを実施。アウトカムは、VR前後の術後の不快感の軽減と、生理学的要因(心拍数、呼吸数、体温、バイタルサイン)の変化との関連であった。

【結果】

VR前後で、大部分(88%)の痛みが、「重度から中等度」、「中等度から軽度」に変化した(MD:-3.75)。生理学的データは、37.3%が心拍数の減少、52.2%が平均動脈圧の低下、64%が呼吸数の減少を示した。

【結論】

 心臓外科術後患者に対するVRの使用は、治療後の痛みレベルを減少する可能性がある

【私見】

この文献は、PADISガイドライン2018の中で紹介されていました。ガイドラインの中では、Q15「重症患者の疼痛管理のために、VRなどのサイバー治療を使用すべきか?」A15「重症患者の疼痛管理のために、VRなどのサイバー治療は推奨しない(推奨:暫定的、エビデンスレベル:very low)」と非常に低い推奨度です。その理由として、無作為化比較試験でもなければ、システマティックレビューもなされていません。それどころか、鎮痛薬の使用の有無や、年齢、性別、人種など、デモグラフィックデータも示されていないため、統計学的に効果があるとは言えないので、仕方ない結果と言えるのでしょう。

とは言え、ICUに長期入院していて、家に帰りたいけれど帰れない患者さん。あるいは終末期で、遠方にいる家族や友人に会いてくても会えない患者さん。もう一度思い出の場所に訪れたいけれど訪れることができない患者さん。そんな希望を叶える手段の一つとして、VRなどのテクノロジーの可能性を信じたいという願いを込めてご紹介しました。

「ICUでは無理」と思考停止にならずに、あらゆる苦痛の緩和や気分転換を提供したいものですね。

元文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4043366/

主観的疼痛測定値の変化と生理学的因子との相関

 (A)患者の初期呼吸速度および主観的反応の変化を互いに測定した。上向きの傾向線は、より高い呼吸数を有する患者が、疼痛の大きな減少を経験したことを示す。

(B)より高い初期心拍数を有する対象は、治療後の疼痛のより大きな減少を報告したが、より低いまたは正常な心拍数を有する対象は疼痛の変化がほとんどまたは全くないことを示した。

(C)初期平均動脈圧と主観的評価の変化はわずかに正の相関を示した。

(D) 初期酸素飽和度と主観的疼痛反応の変化はわずかな相関関係を示した。

http://www.cybertherapyandrehabilitation.com/2014/05/cybertherapy-medicine-clinical-applications-reduce-pain-anxiety/

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