KCCC文献紹介 第89弾:尿道留置カテーテルの管理ってどうしてる?(特別養護老人ホームver)

Mody L,Greene MT,Meddings J:A National Implementation Project to Prevent Catheter-Associated Urinary Tract Infection in Nursing Home Residents.JAMA Intern Med.177(8),1154-1162,2017.

PMID: 28525923 Link:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5710434/

目的

 特別養護老人ホームの居住者におけるカテーテル関連尿路感染症(UTI)は、多剤耐性生物の定着につながる敗血症、入院、および抗菌薬使用の一般的な原因です。本研究の目的は、カテーテル関連UTIを減らすための介入を開発し、実施し、そして評価することです。

デザイン

 大規模な前向きな実施プロジェクトは、ヘルスケア研究機関および長期ケアのための品質安全プログラムに参加している地域密着型の特別養護老人ホームで行われた。ワシントンDC、およびプエルトリコの48州にまたがる特別養護老人ホームが参加した。プロジェクトの実施は2014年3月1日から2016年8月31日の間に行われた。

介入

 このプロジェクトは12か月のコホートにより実施され、技術的なバンドルが含まれていた。技術バンドルでは、「カテーテル抜去」、「無菌挿入」、「定期的な評価とフィードバックの使用」、「カテーテルケアのためのトレーニング」、「失禁ケア計画と水分補給の実践」などが含まれた。このプロジェクトは留置尿道カテーテルを持つ居住者に焦点を合わせた。このバンドルには、根本的な感染予防戦略(例:手指衛生、バリア予防策、および感染予防専門家、現場スタッフ、居住者、家族への教育)、およびカテーテル関連のUTI予防固有の戦略(例:不要なカテーテルの迅速な抜去)、入院時カテーテルの保守と挿入のためのエビデンスに基づく実践の採用、不適切なカテーテルの使用の削減、および尿道カテーテル留置の代替案の検討などがおこなわれました。抗菌薬管理、および尿検査や尿培養などの診断テストの適切な使用も強調されました。この技術的なバンドルは、感染予防の実践と特別養護老人ホームにおける全体的な居住者の安全に関連する態度と行動を強化することに焦点を合わせた社会適応的なバンドルによって補完されました。安全チームの設立としてリーダーシップ、現場スタッフ、住民、そして家族を引き付けることに重点が置かれた。また居住者の安全に関連するコミュニケーション戦略の強化。目標に向かっての持続的な前進が含まれた。

主な成果と対策

 National Healthcare Safety Networkの定義を使用した尿道カテーテル使用およびカテーテル関連UTI率が収集された。施設レベルの尿培養オーダー率も得られた。ランダム効果負の二項回帰モデルを使用してカテーテル関連UTI、カテーテル利用、および尿培養の変化を調べ、病床サイズ、亜急性ケアの提供、5段階評価、感染管理委員会の存在、そして感染予防医などを含む共変量を調整した。

結果

 30ヵ月にわたる4つのコホートで、568の地域密着型老人ホームが募集された。 404施設で分析の基準を満たした。未調整のカテーテル関連UTI率は、1000カテーテル日あたり6.78から2.63に減少した。回帰モデルを使用して施設の特性を調整すると、発生率は6.42から3.33に減少した(発生率比[IRR]、0.46、95%CI、0.36-0.58、P <0.001)。カテーテル利用率はベースライン時で4.5%、プロジェクト終了時で4.9%でした。カテーテル使用率は、調整された分析において変化しないままであった(ベースラインで4.50、プロジェクトの終了時に4.45; IRR、0.95; 95%CI、0.88-1.03; P = .26)。すべての居住者のためにオーダーされた尿培養の数は、1000居住日あたり3.49から1000居住日あたり3.08に減少した。同様に、調整後の尿培養オーダー率は3.52から3.09に減少することが示された([IRR]、0.85;95%CI、0.77〜0.94;P=0.001)。

結論と関連性

 地域密着型の介護施設を含む大規模な全国実施プロジェクトでは、技術的および社会適応型のカテーテル関連UTI予防介入を組み合わせることで、カテーテル関連UTIの発生率を減少させることに成功しました

私見

 KCCCも大きくなり、急性期だけではなく様々な分野の方も参画してくれるようになってきています。夏のKCCCイベントのシンポジストでも多彩な顔ぶれが登壇していただけますし有難い限りです!!(http://kansai-ccc.jp/seminar/kccc-forum-2019/)  さて、そこで今回の論文紹介は「特別養護老人ホームの居住者におけるカテーテル関連尿路感染症(UTI)」に焦点をあてたプロジェクトに関する研究です。筆者の施設(病院)では尿道留置カテーテルの適応について毎日の多職種回診でディスカッションしており、可能な限り早期に尿道留置カテーテルが抜去できるように医療者が目を光らせています。代替案としては自尿の促しや導尿などについて患者にあった具体的な方法を検討しています。

 今回の研究では、“技術的バンドル”だけでなく“社会適応的なバンドル”もプロジェクトの中に組み込まれています。専門的な部分は医療者が介入しますが、そこに関わる家族への教育も含めて全員でカテーテル関連尿路感染症(UTI)を予防していくことが大切ということですね。  

 今回は在宅での取り組みを先行して紹介しましたが、どこかで院内でのカテーテル関連尿路感染症(UTI)対策についても紹介しましょうね。

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