<KCCC文献紹介第96弾 侵襲時の苦痛は防げるのか?>

Nurs Crit Care. 2016 Jan;21(1):44-52. doi: 10.1111/nicc.12159. Epub 2015 Feb 26.

The effects of music therapy in endotracheal suctioning of mechanically ventilated patients.

Yaman Aktaş Y1, Karabulut N2.

PMID: 25721305

人工呼吸器装着患者の気管内吸引における音楽療法の効果

バックグラウンド:

気管内吸引は、重症患者の痛みを伴う手技とされている。

目的:

心血管外科集中治療室(ICU)で人工呼吸器を装着した患者の気管内吸引中の疼痛強度、鎮静レベル、および生理学的パラメーターに対する音楽療法の効果を判断する。

方法:

実験調査。

方法:

この研究は、2010年5月から2013年6月にかけて、オルドゥメディカルパーク病院心臓血管外科集中治療室で実施された。試験サンプルは、試験の選択基準に準拠した66人の患者(実験33人および対照33人)で構成されていた。データは、「患者情報フォーム」、「クリティカルケア痛み観察ツール」、「ラムゼイ鎮静スケール」、および「生理学的パラメーターの形態」を使用して収集された。

結果:

気管内吸引時のラムゼイ鎮静スケールの平均スコアは、実験群と対照群でそれぞれ1.88と1.55であり、群間の差は統計的に有意でした(p = 0.003)。実験群における気管内吸引中のクリティカルケア疼痛観察ツールの平均スコアは、対照群よりも統計的に低いことがわかった(p <0.001)。収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、酸素飽和度に関して、2つのグループ間で吸引前、吸引中、および吸引後20分に有意差はなかった(p> 0.05)。

結論:

この研究の結果は、気管内吸引中に人工呼吸器を装着している患者の患者の痛みを軽減し、鎮静レベルを制御しようとする看護師にとって、音楽療法が効果的な実践となりうることを示唆している。

臨床への関連:

人工呼吸器を装着した患者の日常的な看護ケアに音楽療法を追加することを推奨する。

私見:

今回の文献は「音楽療法」が鎮痛・鎮静に効果があるかもしれないということでした。以前から集中治療領域では鎮静・鎮痛の重要性が唱えられていますが、未だにうまく管理できず苦悩を抱えている人も多いと思います。私自身、今回の文献を読んで、日頃臨床の忙しさを理由に患者の生活に寄り添い、回復を促進するという視点を忘れてしまってこともあったなと感じました。音楽療法については、日本音楽療法学会が「音楽のもつ生理的・社会的・心理的はたらきを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的・計画的に使用すること」と定義しています。音楽は、興奮したりリラックスさせる効果や不安やストレスの軽減するという効果があるといわれています。今回の研究では、この音楽の特性を活用したものになりますが、患者個々によって趣味・嗜好は異なり、リラックスできる状況も異なります。そのため患者個々の「普段どんなことをしてリラックスしているのか」「どんなことに癒しを感じるのか」という情報を事前に収集することができれば、生活援助に取り入れることも可能かもしれませんし、なんといっても患者の苦痛を軽減できるのかもしれません。

集中治療室では特に、侵襲的な処置・ケアを行う機会も多く、患者は不安を抱え、強い緊張状態にあります。そんな中で、苦痛を最小限にするケア方法については今後も考えていかないといけないですね。

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