【KCCC文献紹介 第106弾:小児用のGCSって色々あるけれど…】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=30946292

Inter-Rater Reliability Between Critical Care Nurses Performing a Pediatric Modification to the Glasgow Coma Scale.
Kirschen MP et al. Inter-Rater Reliability Between Critical Care Nurses Performing a Pediatric Modification to the Glasgow Coma Scale. Pediatr Crit Care Med. 2019 ; 20(7):660-666.
Abstract
OBJECTIVES:
PICUにおける、小児版GCSの評価者間信頼性を検証する。
DESIGN:
前向き観察研究
SETTING:
大学病院PICU
PATIENTS/SUBJECTS:
274名のPICU看護師のうち、 18名が評価者として選定された。患者選定基準は、PICU に入室したすべての患者とした。
INTERVENTIONS:
なし
MEASUREMENTS AND MAIN RESULTS:
PICU看護師は、鎮静剤使用中、人工呼吸器使用中、および発達障害のある患者を含む多様な患者に適用できるようにするために、今回作成したGCS小児版に関する教育を受け、トレーニングを行った。各看護師は、サンプル患者を観察し、開眼、言語反応、運動反応、および年齢別のスケール(2歳以下および2歳以上)を用い、GCSを採点した。患者のPCPC(Pediatric Cerebral Performance Category score:小児脳機能検査スコア)が3以上の場合、患者は発達障害があると分類された。
看護師間の全体的な一致率は、「開眼」が89%、「言語反応」が91%、「運動反応」が79%であった。評価者間の信頼性は、テスト可能な患者に対して良好(相関係数= 0.75-0.96)であった。運動反応は、発達障害のある子どもでは有意に低かった。中程度の範囲の運動反応(2,3,4)では、極端な反応(1,5,6)と比較して一致率が著しく低かった(p <0.05)。
CONCLUSIONS:
発達障害のある患者と、中程度のGCSレベル(9-13)で低下したものの、信頼性はPICU看護師によって評価者間信頼性が証明された。今回提唱した小児版GCSの有効性を判断するには、さらなる研究が必要である。
私見:
皆さんの施設では、小児の意識レベル評価スケールは何を使用されていますか?AVPU?JCS?GCS?小児版のGCS?今回は、永遠の課題である「小児版GCS」の評価者間検定に関する報告です。


元来、小児版のGCSの年齢の区切りは「1歳」が基準であり、まずは年齢の区切りが変わったことが斬新な変更だと考えます。あとは、「運動反応」の年齢の区切りがその他2項目と統一されたことも大きな変更点です(図1,2,3参照)。ただ、この報告からも、小児の「運動反応」の評価は個人差が大きいということが言えますね。実際に小児患者をケアされている方は、「Normal Flexion」や「Obey」という評価を下すのが、いかに難しいかということが分かるかと思います。家族の情報がなければ、判断がつきにくいことって多々ありますよね。
この報告が、今後の臨床でどのように影響を及ぼすかは、今後の展開次第だと考えますが、GCSの奥深さを知る良い機会ですね。
※元文献は2019.7月号のPediatric Critical Care Medicineで発表されたばかりの「最新知識」なので、ぜひ病院で「ドヤ顔」して下さい!