<KCCC 文献紹介 第 108 弾> アンブレラレビュー:看護師と患者のケアリングに影響する要因は何か?

 皆さんはアンブレラレビューという言葉をご存知でしょうか?筆者はこの文献をみて初めて知りました。最 近、臨床においてケアリングについて語る場面があったので「ケアリングのレビューってどんなかな?」と思い、 検索したのがきっかけでした。このアンブレラレビューは、“傘のようにメタ分析を更にまとめた研究手法“とい うことらしいです。今までは、システマティックレビューやメタ分析が最も信頼度の高い研究手法だと言われ ていましたが、メタ分析の報告が多く出てくる時代になると、メタ分析のメタ分析のような研究手法にとって 替わるのですね。立ち止まっていると足早な時代に置いて行かれてしまう気分です…。 さて、本日は要約だけにはなりますが、ケアリングについてのアンブレラレビュー文献を紹介します。

(要約)

目的:この研究の目的は、看護師と患者の関係を記述し、ケアリング行動がどのように記述されているか を研究することです。 レビュークエスチョンは、「看護師と患者のケアリングに影響する要因は何か?」です。

背景:看護師は思いやりのある有効なケアを提供できないという認識が高まっています。方針を示す文 書では、思いやりのあるケアを必要不可欠な側面として規定しています。しかし、エビデンスの記述は明ら かになっておらず、実践への明確な適用もありません。

デザイン:ジョアンナブリッグス研究所のガイドラインによって通知されたアンブレラレビュー方法論が採用さ れ、十分な方法論によって質が担保されたシステマティックレビューを包含できるように採択、適合されまし た。

データソース:2000 年1 月から2014年 3月までに出版された文献について、PsychInfo、Pubmed、 CINAHL、Scopus、WoS、および Embase の広範な検索が行われました。 Key words は“看護 師”、“患者”、“関係性”にインデックス用語を組み合わせて 2000 年以降に公開された文献で検索しま した。

レビュー方法:重要な評価、データ抽出、および統合は、既存のガイドラインをアンブレラレビューすること でおこなわれました。

結果:12 件のレビュー(290 以上の研究を表す)では、以下の重要な評価が含まれました。 47 の 調査結果が抽出され、14 のカテゴリと 6 つの総合された結果が得られました。「関係への期待」、「価値」、 「知識とスキル」、「コミュニケーション」、「状況と環境」、「関係の影響」です。

結論:患者と看護師の双方がケアリング関係の性質と重要性について期待を持っていることを示す多く のエビデンスがあります。看護師は、看護師の行動と態度が、患者が関係性構築において価値をおいて いるということに注意する必要があります。状況は、肯定的および否定的な方法で関係を形成します。

私見:システマティックレビューやメタ分析をさらにまとめたレビューということで、概念が大きく想像しにくい 言葉が並んでいました。一般的に述べられている“ケアリング”でも解釈が難しいのに、何ということでしょう …。大変困りましたが、私見(解釈)を述べていきます。 看護の世界では、ケアリング研究者の第一人者であるメイヤロフやノディングスという方がよく引用されま す。ここではメイヤロフのケアリングをとても端折って引用すると、ケアリングとは「他者と自己との差異を意識 しながらも、一体となっているような感情(差異の中の同一性)」が根底にあり、「ケアリングにおける自己 実現」に向けた「比較的長い過程を経て発展していく他の人格とのかかわり方」であると述べています。 臨床看護師は、他者である患者の援助を行います。専門職として看護師が成長(看護師の自己実 現)するプロセスには、患者への援助により達成された“生活行動の再獲得”などの患者の成長(患者 の自己実現)が存在します。関係性の中で相互作用が働いているということです。「あんたは患者さんに 成長させられたな」みたいに肝っ玉母さんのようなことをいう看護師がたまにいますが、まさにあれです。そん な症例がどうだったか思い出すと、看護師は患者にとって必要な何かを一所懸命に考えて探索し、介入し ます。それに対して患者は時に怒り、時に喜び、時に涙を流し、お互いまっすぐにぶつかっていたような気が します。そのような関係は、互いを個として認識し、興味をもって関わっているからこそ成されるのだと思いま す。私たちが日ごろ相手にする患者は、このレビューにあるような「関係への期待」をもちながら、“病気に 打ち克つという自己実現を目指す人(患者)”なのでしょう。そして、そこには互いの「価値」が存在し、そ れらの差異を認め合いながら、適切な「知識とスキル」や「コミュニケーション」を用い、「状況と環境」の調 整もしくは機会の提供をしながら、「関係の影響」を及ぼすといった感じでしょうか。しかし、その影響は肯 定的な反応を示すこともあれば否定的な影響を示すこともある…。そのため、看護師は日ごろの振る舞い や態度には注意を払いましょうと述べているのだと考えます。 この論文は、フルテキストをじっくり読んだわけではないのでまことに勝手な私見ですが、結局ケアリングは ①対象に興味関心を寄せて、②対象のことを深く考えて、③状況に応じた適切なスキルやコミュニケーショ ンを用いて、④真摯に対応することで、⑤患者と看護師の相互作用による互いの成長につながる…という ことなのかなと筆者個人は思うところです。 皆さんはどう解釈されますか?

Follow me!