【コラム72:サルコペニアの摂食嚥下障害って?】

重症管理がある程度落ち着いたけど嚥下機能が低下して食べられなくなった経験はありませんか?

もしかするとそれがサルコペニアの摂食嚥下障害かもしれません。

サルコペニアの摂食嚥下障害とは、全身と嚥下関連筋の両方にサルコペニアを認めることで生じる摂食嚥下障害です。 今年の6月に日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本サルコペニア・フレイル学会、日本リハビリテーション栄養学会、日本嚥下医学会の4学会の共同でポジションペーパーが発表されました。

【定義】

1)全身の筋肉と嚥下関連筋の両者にサルコペニアを認めることで生じる摂食嚥下障害

2)全身のサルコペニアを認めないものを除外

3)脳卒中など明らかな摂食嚥下障害の原因疾患が存在し,その疾患による摂食嚥下障害と考えられる場合も除外

【摂食嚥下障害診断フローチャート】

まずは全身性の筋肉量減少・筋力低下を伴うサルコペニアの存在を確認します。

その次に脳卒中などの嚥下障害を引き起こす原因疾患がないことを確認します。

最後に嚥下筋群の評価として舌圧測定(20kPa未満をカットオフ値)を実施するとあるが臨床上では測定できない環境が多い。

舌圧測定の他にも超音波検査やCTなどでも評価は可能だが、測定できない時点で「サルコペニアの摂食嚥下障害の可能性あり」と診断は可能となっている。

【治療】

サルコペニアに対応するには体重増加を目標にしたエネルギー投与が必要であり、同時にエネルギー量が充足できていればリハビリ(筋肉量増加を目的とした)が必要となります。

サルコペニアの摂食嚥下障害の場合も同様に、十分な栄養管理と嚥下関連筋群のリハビリが必要となります。挿管中であればしっかりと口腔ケアを行いいつでも食べることができる口腔内環境の維持、また不要な絶食管理を短く、できるだけ早期経口摂取を目指すことも必要です。

【私見】

重症管理中であってもサルコペニアの存在に気がつくことができることが必要であり、サルコペニアを発症していると摂食嚥下障害も合併している可能性があることを知るところから始めてみましょう。

その上でサルコペニアを予防・悪化防止を可能な限り行い、普段から早期経口摂取再開に向けて口腔内環境の整備、早期経腸栄養+早期離床の介入を行うことが重要だと思います。

【参考文献】

森 隆志. サルコペニアの摂食嚥下障害. 日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(4):949-954:2016.

Ichiro Fujishima, et al. Sarcopenia and dysphagia: Position paper by four professional organizations. Geriatr. Gerontol. Int. 2019;19:91-97.

「サルコペニアと摂食嚥下障害 4学会合同ポジションペーパー」日本語訳

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