〈KCCC文献紹介 第110弾:日本人が書いた後方視研究の英語論文を読もう〉

Hatachi T, et al.Antibiotic Prophylaxis for Open Chest Management After Pediatric Cardiac Surgery. Pediatr Crit Care Med. 20, p801-808, 2019.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31107376

画像はhttps://journals.lww.com/pccmjournal/Pages/Hatachi_Infographic.aspx

より引用

Objectives:開胸管理により、心臓手術後の血行動態が最適化されるが、術後感染が増加し、死亡率が増加する。開胸管理中における予防的な抗生剤投与は重要であるが、特定の推奨事項は存在しない。今回、小児心臓手術後の開胸管理のための異なる予防的抗生物質剤投与メニュー間で、血流感染と手術部位感染の発生率を比較することを目的とする。

Design: 単一施設の後方視観察研究

Setting::PICU

Patients:2012年1月から2018年6月までの間に、心臓手術後開胸管理された18歳以下の患者

Interventions:なし

Measurements and Main Results:3つの予防的抗生剤投与メニュー( 1)セファゾリン、2)セファゾリン+バンコマイシン、3)バンコマイシン+メロペネム)の間で、心臓手術後30日以内の術後血流感染と手術部位感染の発生率を比較した。

開胸管理を伴う63の小児心臓手術で、17の血流感染症と12の手術部位感染症が術後に特定された。血流感染と手術部位感染の複合発生率は、セファゾリンのみでは67%、セファゾリン+バンコマイシンでは53%、バンコマイシン+メロペネムのメニューでは31%であった。多変量解析で年齢、開胸管理期間、ECMOの使用、およびMRSA保菌の変数を調整したところ、セファゾリンとセファゾリン+バンコマイシンのメニューの間に有意差はなかった(p = 0.19)。メロペネム療法は、セファゾリン療法よりも血流感染および手術部位感染の発生率が低かった(オッズ比:0.0885, 95%CI:0.0176–0.446, p = 0.003)。

Conclusions:この研究では、開胸管理による小児心臓手術後の広域抗生剤メニュー間で、術後血流感染および手術部位感染の発生率の低下が観察された。理想的には、次の研究として広域スペクトル抗生剤の有効性とその合併症を調査するランダム化比較試験を行うことで、ルーチン実施される抗生剤投与に対して効果を示すであろう。

私見

こちらの論文は本邦のPICUにおける、開胸管理の抗生剤投与に関する報告です。

内容はとてもニッチですが、後方視研究のお手本となるような研究デザイン、論文化をされているということで、後方視研究・英語論文にトライしたい方にはオススメの論文です(Open access化はされていないため、購入は必要です)。

また、日本人が書いた英語論文なので、非常に読みやすいということもポイントだと思います。

いかにデータ管理を行い、質の高い臨床研究を行うか。また、それらの知見を臨床に還元することがとても大切ですね。

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