【コラム81:保存期慢性腎臓病のタンパク質投与量は?】

重症患者の栄養管理において蛋白投与量は気にしていますかPart2?

コラム76では重症透析患者のタンパク質投与量は、0.9~1.2g/kgでコントロールがよいのではと述べました。(https://www.facebook.com/1187559671272713/posts/2950661298295866?sfns=mo

では、透析はしていない保存期慢性腎臓病(以下保存期CKD)の患者の場合はどうでしょうか?

従来、「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014 年版」をもとにタンパク質の制限を行うことで腎機能を保護し末期腎不全に至らないように行われてきました。生活習慣対策を行い、できるだけ腎代替療法(透析)を避けようとするものです。

しかし、この数年でサルコペニアの概念が出現し骨格筋減少による様々な合併症や、QOLの低下、生存率の短縮などが報告されています。保存期CKD患者も例外ではありませんでした、サルコペニアを合併している患者に関してむしろ今まで通りのタンパク質制限を行うことで末期腎不全を予防する前に死亡率が上昇する報告が多くなりました。

その影響もあり今年、日本腎臓学会から「サルコペニア・フレイルを合併した保存期 CKD の食事療法の提言」が発表されました。

従来のタンパク質制限に加えて、サルコペニア合併している場合の上限推奨量は以下のように変更となりました。

  • CKD Stage1~2(GFR≧60):過剰な摂取をしない→過剰な摂取を避ける(1.5g/kg/day)
  • CKD Stage3a(GFR45~59):0.8~1.0g/kg/day→1.3g/kg/day(サルコペニア予防を優先する場合)
  • CKD Stage3b(GFR30~44):0.6~0.8g/kg/day→1.3g/kg/day(サルコペニア予防を優先する場合)
  • CKD Stage4~5(GFR<30):0.6~0.8g/kg/day→0.8g/kg/day

重症患者では元々サルコペニアがなくても、高齢者にあることに加えて、急性炎症性疾患や治療上に必要な安静や栄養投与量の減少によりサルコペニアが発症しやすい環境にあります。

クリティカルのステージから退院後の生活を意識できる関わりができることが、重症管理を行う看護師には重要なスキルとなります。そこで十分な介入ができていなければQOLを維持することもできなくなります。この栄養状態でいいのか?栄養管理を始めなくてはいいのかと、看護師はどの職種よりもいち早く気が付くことができて、提案できるのも生活者を支援できる看護の役割のひとつかもしれません。

今回、食事療法の提言としてCKD Stage3までではタンパク質制限が緩和されました。重症管理中の患者にこの推奨内容を取り入れることはまだ検討されてはいないと思いますが、経腸栄養や中心静脈栄養法を行うことも食事(栄養管理)であるため例外ではないかと思います。

Follow me!