【コラム85:食べたら出す!排便コントロールしてますか?】

重症管理中だけでなく、どのような場面においても排便管理が重要なのは看護師であれば十分理解しているはずですよね。

そこで、排便管理どうやっていますか?と問われるとなかなか言葉にするのは難しいのかもしれません。1日1回出てればokでしょうか?どれくらい続く便秘なら様子を見られますか?
重症管理中において排便評価方法も施設によって様々です。ブリストルスケールなどのツールもありますが、便性状に関しては看護師の主観的評価になっているのでないでしょうか?
また浣腸や緩下剤などの薬剤使用に関しても医師の指示があり、その中から選択するのは看護師判断になっている施設も多いかと思います。
その患者の状態にあった薬剤選択が的確にできていますか?

NST(Nutrition Support Team=栄養サポートチーム)回診においても下痢の改善依頼の事例において、緩下剤が処方継続されていただけということも稀ではありません。

重症患者においては、早期経腸栄養が推奨されています。そこで経腸栄養に関する合併症に便秘や下痢があります。

経腸栄養剤は高濃度なため高浸透圧の製品がほとんどです。そのため浸透圧性下痢を引き起こすことがあります。よって、経腸栄養管理中では有形便で維持することは困難であることが多いです。そこで緩下剤を使用し便を柔らかくしてしまうと下痢を引き起こしてしまう可能性があります。そんなときは腸蠕動が低下している状況もあるため、腸蠕動促進薬を検討するとよいのかもしれません。

また乳製品を原料にしているものが多く、アレルギー確認をしていても気づかれないまま乳糖不耐症による下痢も発症することもあります。感染症では抗菌薬の使用歴も長期になることがあり、偽膜性腸炎による下痢もあります。以上より、重症患者の経腸栄養管理では合併症のリスクが一般病棟の患者よりも高くなり、排便コントロールが重要になります。

施設によっては排便コントロール対策の手順を作成しているところもあります。排便の有無や量によって薬剤投与や排便処置を判断できる基準を設けることで医療の質を担保することが可能となっています。
しかし、施設によって採用薬品や栄養剤も異なり、排便状況も患者の病態によって異なるため個別性をもったケア内容を検討し提供することが求められています。
今後は、看護師の誰でも同じように判断し介入できるようなシステムを構築する必要があるのかもしれません。

食べたら(経腸栄養を含む)、出す!を普段から意識して、栄養摂取と同時に排便コントロールも実践していきたいですね。経腸栄養管理を安全に、そして合併症を少なくするためには入れることだけではなく、出すことも重要です。

参考文献
巽博臣ほか. 重症患者に対する早期経腸栄養施行時の排便コントロールの有効性に関する検討. 静脈経腸栄養 vol.28 No.6. 2013.

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