<KCCC文献紹介 第116弾:HFNC使用下で、挿管リスクを予測する>

HFNCを普段どのような病態で利用していますか?!
酸素マスクやリザーバーマスクと違って、軽〜くPEEPもかかるし、圧迫感もないから呼吸不全で入室した患者にはよく使っています!という部署もあるかもしれません。
いやいや、やっぱりNPPVや気管挿管に比べて呼吸サポートが少ないからあんまり信頼をおいていないいんだ!というところもあるかもしれません。
こういった時、よく聞くのがCase by Caseという言葉!
そんな割り切った議論ができるわけではないから、ちゃんと患者をみて判断しなさい!というのはごもっともな意見だと思います。
「HFNCを使用してみて、それで患者の呼吸状態が悪化するのであれば、NPPVやIPPVなどを考慮すればいい。」言われても、
呼吸状態の悪化を判断することって難しいし、本当に挿管すべきかを結論づけることって難しい。
こういった場面で、有効になるかもしれない指標を今回はご紹介します。

今回、ご紹介するのは「ROX index」という指標になります。
2016年に重症肺炎の患者を対象に、HFNCでの呼吸サポートで呼吸不全をしのぐことがことができるかどうか(失敗は、挿管したり、呼吸状態が悪化すること)
を予測するために、考えられた指標になります。→「https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27481760」

ROX indexは「ROX index=SpO2/FiO2/RR」という計算式で表されます。
いつも評価している「患者のSpO2、FiO2、呼吸回数から計算できる指標」になるので簡便な指標ではないかと思います。
例えば、SpO2=90%、FiO2=0.8、呼吸回数30回/分だと、ROX=3.75にといった具合です。

本研究では、多施設コホート研究によって、このROX indexが有用かどうかを評価しています。

An Index Combining Respiratory Rate and Oxygenation to Predict Outcome of Nasal High-Flow Therapy.

Am J Respir Crit Care Med. 2019 Jun 1;199(11):1368-1376.

参考URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30576221

【背景】
急性呼吸不全に対する高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)の有効性を示す臨床データ、生理学データが報告されている
一方で、HFNC中の患者の挿管時期の遅れは、患者アウトカムの悪化との関連が示唆されている
挿管時期の遅れを回避するために、早期に挿管を予測できる方法が期待される

【目的】
急性呼吸不全患者におけるROX indexのHFNC治療成功/失敗の予測精度を調査すること

ROX index=SpO2/FiO2/RR

【研究方法】
・研究デザイン:多施設前向き観察研究
・研究場所:スペイン、フランスの5病院のICU
・研究時期:2016/1月〜2017/2
・研究対象者:肺炎の診断でICU入室となりHFNCを使用した18歳以上の患者
・除外基準:緊急挿管の適応

【データ収集】
①患者背景
②呼吸パラメータ
 タイミング(治療前、2/6/12/18/24時間後)
 SpO2,FiO2,PaCO2,Lactate,Flow,Rox index
③HFNC治療失敗=挿管人工呼吸の必要性
・GCS<12
・心停止、重症不整脈、循環不全(NAD>0.1μg/kg/min)
・呼吸不全の悪化

【結果】
①研究対象者
・研究対象者:191名
 うち、68名(35.8%)が治療失敗となった
・年齢(中央値):62歳
・性別(男性):61.8%
・APACHEⅡ:17

②ROX指標の予測精度(AUROC)
・HFNC開始後
2時間: 0.679
6時間: 0.703
12時間:0.759
24時間:0.801
を時間経過に伴って向上する結果であった(p<0.001)。

③ROX指標

=HFNC成功の予測値(挿管リスクが低い値)=
・ROX index=4.88以上は、低い挿管リスクと関連した。
(2時間時点でのハザード比は0.434、6時間で0.304、12時間で0.291)。

=HFNC失敗の予測値(挿管リスクが高い値)=
2時間時点: ROX index=2.85未満
6時間時点: ROX index=3.47未満
12時間時点:ROX index=3.85未満

【結論】
酸素化と呼吸数を組み合わせる指標により、中程度の精度で治療失敗を予測可能であった。

【私見】
ROX indexは、HFNCの成功予測値として「4.88以上」をカットオフ値としています。
ここには記載していませんが、2時間、6時間、12時間で感度が高く、ROX indexが高値であれば、HFNCが失敗しにくいことを示しています。
また、HFNCの失敗を予測値では、特異度が高く、上記に示したROX indexよりも低い値の場合、HFNCの失敗が生じる可能性が高まることを示していました。
そのため、ROX indexが「4.88以上」はどうかみていくことが、HFNC治療の成否を予測できる可能性を示唆しています。
ただ、本研究においても対象患者は「重症肺炎」になります。
ですので、「ARDS、PE、抜管後の呼吸不全」といった患者で有用な予測指標になるかは、解明されていません。
以上のことから、まだまだ、限定的な指標にはなります。また、「予測」という、少し不確定な要素を含んだような印象を受ける指標になります。
現在、私は一般病棟/ハイケアに所属しているため、「挿管が必要な状態かどうか、HFNCでしのぐことができるかどうか」を判断することがとても重要になってきます。
できるのであれば、挿管をしないで管理できる方が、患者にとって負担も少なく、患者の状態をきちんと評価した上で、このような指標も合わせて評価していくことが重要なのかなと思います。

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