【コラム100:栄養管理のコツは合併症を起こさない!下痢編】

栄養管理で合併症を起こさない第2弾です。(第1弾はコラム96)
前回と繰り返しますが、重症患者の栄養療法を行う上で、合併症はつきものです。 合併症を起こしてしまうと栄養療法自体を中断することもあり、早期経腸栄養が実践できるという言葉の裏側には、合併症を起こさないことだとも言えます。

今回は、下痢についてです。
クリティカル領域での治療中に消化管機能障害は30~70%の患者に発生すると報告されています。また250g以上の排便でエネルギーバランスが負の状態となり、350g以上でエネルギーと蛋白量が不足するとも言われています。
また、便の付着で起こる皮膚トラブルや、シーツが汚れてしまい交換をするために患者を何度も動かしてしまい循環動態が不良な患者にとっては身体的な負担になることもあります。 そして、オムツやシーツなどの交換費用、それを行う看護師の業務負担なども考えると経済的損失も発生します。

そもそも下痢って正しく報告・表現できていますか?程度によって様々な解釈を看護師はしていませんか?

下痢の定義はあきらかに決まったものはないようですが、「排便量が1日当たり200gを超える場合」とされています。また回数も3~5回以上となっているものもあります。 便性状を評価するツールとしてブリストルスケールがあります、この中で下痢と呼ばれる範囲は7段階中の6(泥状便)から7(水様便)にあたります。

経腸栄養に関連する下痢は急性下痢症に分類されます。
その中で、主に吸収不良・高浸透圧性・細菌性に分けられます。 吸収不良は、長期絶食による機能低下や腸管浮腫によって発生します。高浸透圧性の下痢は、血管内浸透圧が約300mOsm/Lに対し、栄養剤の浸透圧が高いことで腸管内に水分が移動することで起こります。栄養剤によって浸透圧は異なりますので、確認はしてみるのもいいかもしれません。最後は細菌性下痢ですが、抗菌薬の長期投与ではC. difficile感染症が発生する可能性、PPIやH2blockerにより腸管内細菌叢のバランスが崩れることで起こります。また経腸栄養に使用する物品の不衛生な状況で使用することで最近が混入することもあります。

下痢対応アルゴリズムを作成し原因の特定、できるだけ経腸栄養を中止しなくてもいい方法を看護師で判断できるものを活用することもあります。

【下痢対策アルゴリズム】
①下痢を引き起こす薬剤の鑑別
②抗菌薬に使用歴とC. difficile毒素のチェック
③乳糖不耐症(乳製品で下痢を起こしたことがあるか?経腸栄養剤には乳製品由来のものが多いため)
④栄養剤の変更を検討(半消化態栄養剤→消化態栄養剤へ)

このチェックで大半の下痢に対応することができ、また投与速度を落とすことで下痢は改善することが多いです。

NST回診で下痢対策でよく質問があるのですが、経腸栄養剤を投与中に有形便になることの方が珍しいかと思います。浸透圧や消化しやすい性質でもあり有形にはなりにくい特徴があります。ブリストルスケールの6(泥状便)で安定していることの方が多いのかもしれません。 下痢だから経腸栄養を即中止するのではなく、原因を特定してまずは対応してみることが重要だと思います。そのためには、なぜその性状なのかもアセスメントすることが求められています。

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