人工呼吸器管理下で離床してもエネルギー投与量の追加は必要ない?

若林秀隆先生がご紹介されていました論文で、個人的に衝撃でしたのでこちらでも紹介したいと思います。
アブストラクトからの情報ですが、ICUの人工呼吸器管理をしている患者66名に間接熱量計を用いて離床時のエネルギー消費量を調べたものです。
①ベッドで臥床
②端座位
③ベッドサイド立位
④椅子に座位
⑤ベッドに戻って臥床
⑥2時間後の臥床状態
結果は早期離床をしても多少のエネルギー消費量が増加するが、エネルギー量の追加までは必要ないというものでした。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31732289

エネルギー必要量を計算する時に様々な方法があります。Harris-Benedictの計算式を用いる時には、算出された消費量に活動係数とストレス係数を乗じたものが必要エネルギー量とされています。
今回の論文では、この活動係数というところが焦点になっているかと思います。

活動係数・ストレス係数に関しては、エビデンスに乏しく様々な報告があり、施設ごとにもその値は異なっているのが現状ではないでしょうか?また実際に使用する時にも、おおよそこれくらいかな?と決めていることが多いかと思います。

日本版重症患者の栄養療法ガイドラインでもエネルギー量算出の際には簡易式である25~30kcal/kgを用いて必要を求めるとあります。また活動係数・ストレス係数には科学的根拠はないと記載されています。

元々Harris-Benedictの式は日本人を対象に作成されたものではないため、日本人の体格で計算するとやや過剰な値が算出されてしまいます。クリティカル領域では過剰投与による合併症もあるため、少なめの目標量が推奨されています。

例)64歳 男性 身長170cm 体重72kg 入院前の低栄養なし(必要量の60%を目標) 敗血症(ストレス係数 1.3) 人工呼吸器管理中(ベッド上安静:活動係数 1.2)
Harris-Benedictの式:1505kcal×1.3×1.2×60%=1408kcal/日
簡易式:72kg×25~30kcal×60%=1080~1296kcal/日

早期離床を行うからといってエネルギー量を調整する必要はないかと思いますが、何も投与しないではなく、重症管理中は必要なエネルギー量を最低でも投与しておくことは重要ですね。

【参考文献】
井上善文, 必要エネルギー量の算定―ストレス係数・活動係数は考慮すべきか?―, 静脈経腸栄養25(2):573-579,2010.
日本集中治療医学会重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会, 日本版重症患者の栄養療法ガイドライン, 日集中医誌(23):185-281,2016.

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