【コラム107:「学習する組織」への道のり part2:システム思考って!?】

さて今回は【コラム102:「学習する組織」への道のり part.1】の続編です。前回はタイトルにもあるように、組織が学習障害を抱えていないかという内容でした。今回は、「学習する組織の“要”」ともいわれるシステム思考について少し考えていきたいと思います。

システム思考とは、「人間活動や様々な事象を相互に関連したシステムとしてとらえる概念」とされています。少し難しいですか、ある事象を単独のものとしてとらえるのではなく、その事象が関連、もしくは関係している事象やそのつながりもシステムとしてとらえるということでしょうか。

私たちを取り巻く環境はどんどん複雑化してきており、単純に原因と結果という見方をしているだけでは事象をとらえられない時代になってきているようです。こんな時代だからこそ重要なのが、“システム思考”だといわれています。

このシステム思考にはいくつかの法則があるといわれています。前回同様、個人的に共感した内容を抜粋して紹介したいと思います。

①相殺のフィードバック

良かれと思って行った介入が、その介入の利点を相殺するような反応をシステムから引き出すという現象のようです。生活保護制度がいい例かもしれません(勝手な解釈)。生活保護制度は、「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長すること」を目的とした制度なのですが、その制度を悪用し、労働できるにも関わらず労働せず、生活保護費を不正に受給する人も少なからずいます。そのため社会保障費が増える・・・。

この相殺のフィードバックは個人に起こることもあるようです。例えば、看護の世界でいえば、数年前(7:1加算をとるために看護職員を確保しようと躍起になっていた時でしょうか)に新卒看護師の離職率を下げるために、どの施設も新卒看護師が働きたいと思うような環境づくりに取り組んでいたと思います。それはとても良いことなのですが、中には「新卒看護師にはとにかく優しく、叱ってはいけない」「新卒看護師はできることだけをしてたらいいよ。あとは先輩が何とかするから」みたいな対策もされていたような気がします。その結果、数年経ってもいつまでも自律できない看護師が育ってしまった…なんてことは、多くの施設で経験されているのではないでしょうか。

②たいていの解決策は、悪くなる前によくなる

これは、相殺フィードバックにも関連するのですが、良かれと思って行った介入は一時的には良くなるということです。新卒看護師の例で考えてみると、先輩が優しく、叱られない環境で働ける新卒看護師はストレスも少なく居心地がいいかもしれません。そしてそれを見ている先輩看護師も自分の関わりがいいものだと思うかもしれません(一時的によくなる)。通常、相殺のフィードバックは「遅れ」てくるといわれており、目先の良い状態にばかり目を向けていては、この先訪れる相殺のフィードバックに悩まされることになるかもしれないということですね。

③安易な解決策はたいてい元の問題に戻る?

これは、私たちは問題に直面した時、見慣れた解決策を当てはめることに安らぎを覚え、その当てはめこそが正しいと思い込み固執してしまうということのようです。病院ではインシデントが起きた時、インシデントレポートが記載しますが、その多くは「こういうミスなら、こんな対策を書けばいいだろう」と一般的な対策が記載されているのみになっていないでしょうか。根本的な問題はそのままになってしまっているので、同じようなインシデントが発生するのは当然のことですね。

④対策が原因よりも手に負えないこともある

安易な見慣れた解決策は効果がないだけでなく、時に中毒を引き起こし、危険な場合もあるといわれています。例えば、確認不足によるインシデントが起きたとします。その解決策として「チェックリストを作成し活用する」という取り組みがなされました。しかし、また別の確認不足のインシデントが起きます。そしてまたチェックリストを作成します。気が付けば、膨大なチェックリストの量…。さらには、インシデントの原因が膨大なチェックリストであるかのように、問題がすり替えられる…(苦笑)

と、共感した内容を長々と書きながら、実際に問題に直面した時は上記のようなことを冷静に考えられていなかったな~と振り返り、目の前のことだけに意識するのではなく、システム思考の法則を肝に銘じつつ、物理的・心理的・時間的などの「つながり」を全体的に捉えることが重要なんだな~と感じました。

そして、「学習する組織」への道のりはまだまだ続きます・・・

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