【KCCC文献紹介125弾:抑制を減らすために何をするか!?】

 集中治療室における抑制は、長い間私たちの課題です。自施設のICUでも、「抑制件数」を減らすだけでなく「抑制時間」を減らす(抑制フリーの時間を作る)という命題に向けて活動していますが、抑制を“0”にするまでには至っていません。しかし、多施設に目を向けると抑制“0”を達成している施設もあります。素晴らしいですよね。ということで、今日は抑制を減らす活動についての文献紹介になります。

Mitchell DA, Panchisin T, Seckel MA:Reducing Use of Restraints in Intensive Care Units: A Quality Improvement Project. Crit Care Nurse. 2018 Aug;38(4):e8-e16.

タイトル:集中治療室における拘束の使用の削減-品質改善プロジェクト

<要約>

背景:物理的な身体抑制具の使用は、今日の集中治療室で注意深くみられています。デラウェア州ニューアークのクリスティアナケアヘルスサービスの5つの集中治療室の使用率は、2013年度と2014年度の多くの月の9.61%から15.43%の全国看護品質指標データベースの平均よりも高いものでした。

目的:5つの集中治療室すべてについて、拘束率を全国データベース未満の平均率まで下げて維持するためにプロジェクトを実施しました。

方法:マルチユニットの拘束についての連携形成を含む品質改善プロセスが使用されました。自己抜管率を含む拘束データのレビュー、エビデンスに基づいた実践との整合性を調べるためのスタッフ看護師の調査、新しい拘束代替製品の選択が調査されました。

結果:5つの集中治療室はすべて、2012年9月に拘束連携プロジェクトが開始されてからの大半の月で、拘束率を全国データベースの平均よりも低くすることに成功しました(図1:赤線が全国平均、青線が研究対象施設)。

図1 抑制実施率

 気管チューブの自己抜管率は、総数として82件(2013年)から101件(2014年)に増加したものの、6時間以内に再挿管を必要としたのは40%(2013年)から22%(2014年)に減少していました(表1)。

表1 自己抜管率

 看護実践については、1つを除くすべての質問で改善を示しました(表2)。 結果は統計的に有意であることを示しました。

(正の変化で改善を示す項目)

①患者を拘束する前に拘束の代替手段を使用する(P <.001)、②拘束を適用する前に、看護師/療法士の協力がある、③拘束の使用は、毎日のラウンドで議論される(P <.01)。

(負の変化で改善を示す項目)

Q: どのような場合に拘束が必要だと思いますか?

a.自己抜管を防ぐために(P <.01)、b.頭蓋内圧モニタリング患者の場合(P <.02)、c.侵襲的カテーテルの除去を防ぐため、d. ドレーン/チューブの取り外しまたは取り外しを防ぐため、e. 患者の転倒を防ぐために、f. 闘争的で攻撃的な行動をしている患者の場合、g. 患者がさまようことを防ぐため(P = .41)、h. 気道障害のリスクがある患者、すなわち、気道の困難、顔の外傷など(P <.01)、i.急性せん妄症状のため(P <.01)

表2 看護実践調査

結論:拘束連携プロジェクトの使用とその後の拘束代替手段の採用により、5つの集中治療室の拘束率が全国データベースの平均値未満に低下し、持続的な成功が可能になり、看護師の信念をEBMに基づいた実践に揃えることができました。

私見:抑制を減らすために、①患者を拘束する前に拘束の代替手段を使用する、②拘束を適用する前に看護師/療法士の協力がある、③拘束の使用は毎日のラウンドで議論されるなど、多職種で抑制減少に取り組むということが大前提に必要だということが理解できます。そして、抑制を減らしても患者への直接的な有害事象はそこまで大きくないということも示した研究でした。抑制が患者に及ぼす悪影響というのは看護師の多くが知るところです。そのため、既に多くの施設が同様の方略や努力を積み重ねていると思います。しかし、抑制をせねばならないジレンマが臨床には未だ存在します。そして、時にその感覚は麻痺して薄れていくこともあります。臨床での抑制を減少させていき、そしていずれは抑制“0”となるように、看護師だけでなく医師、理学療法士、家族など、資源を最大限に活用して立ち向かっていきたい課題ですね。

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