<KCCC文献紹介 第129段 病院を退院されたPICS患者に対するフォローアップはどうすればいいのか?>

皆さま、12月31日は如何お過ごしでしょうか。お休みの方、夜勤で年越しをされる方、色々な方がいらっしゃると思います。

2019年最後の日に何を書こうか、どんな文献をご紹介しようか迷った結果、今回は「PICS患者に対するICUフォローアップクリニック・ピアサポートグループ」についての文献をご紹介したいと思います!!

もしかすると、もう導入している/実施しているという施設もあるかもしれませんが、今後の皆さんが関わるかもしれない、すこーし未来の文献をご紹介したいと思います。

ご紹介する文献

Enablers and Barriers to Implementing ICU Follow-Up Clinics and Peer Support Groups Following Critical Illness: The Thrive Collaboratives. Critical Care Medicine, 47(9), 1194–1200 2019. 

リンク先

http://doi.org/10.1097/CCM.0000000000003818

【目的】

ICUフォローアップクリニックやピアサポートグループを運営していく上で、障害となっていることや運営を成功させるために必要な要因を明かにすることを目的としている。

【方法】

研究デザイン

質的帰納的調査

研究場所

21施設

研究参加者

フォローアップクリニックやピアサポートに関わる21名の臨床医

データ収集方法

フォーカスグループインタビュー・半構造化面接

【結果】

フォーカスグループインタビュー・半構造化面接を用いて、ICUフォローアップクリニックやピアサポートグループについて明かにした結果

=ICUフォローアップクリニック=

成功要因:10項目、障害となる要因:9項目

患者の経験やそこから得られた洞察は、他の医療者や病院管理者の理解を得ることや支援構築に重要な要因となる。一方で、クリニックへのアクセスや資金の不足はフォローアップクリニックを継続していく上で、重大な障害となる。

=ピアサポートグループ=

成功要因:9項目、障害となる要因:5項目

ピアサポートグループを成功させるためには、運用を支援できるようなインフラの開発、いつでも参加できる柔軟性が重要な要因となる。その一方で、ピアサポートグループの認知度の低さが重大な障害になることが示されている。

=共通する重要な要因=

成功要因

①多職種のチームワーク

②実施計画をきちんと定義すること

③人と人とのつながり

④SCCM(米国集中治療医学会)との協同

⑤モチベーションされた臨床医の存在

⑥想像的な問題解決方法

障害要因

①資金の不足

②実施する場所の確保

③適切な患者を定義することの困難さ

④患者と家族の参加

【結論】

がんサバイバーなどでは、フォローアップクリニックやピアサポートの必要性や役割の重要性が認知されてきている。しかしながら、PICSにおいては海外でも取り組みは半ばである。本研究の結果、様々な要因について検討ができたため、これらをふまえて継続して必要がある。

【私見】

今回、ちょっと先の未来を見据えて「PICS患者に対するICUフォローアップクリニック・ピアサポートグループの成功・障害要因」の文献をご紹介しました。

どうして「ちょっと先の未来」かと言うと、PICSの概念が提唱されてからICU退室患者の「短期的な生命予後」から「長期的なQOL」にアウトカムが変化し、介入範囲はICUを超えて、入院期間中の介入や本研究で実施しているように退院後のサポートにまで拡大しています。まだまだ、エビデンスが乏しく今後、様々な知見の蓄積によって、介入方法も変化していくと考えられます。

今後、こういった研究成果をもとに、ICUフォローアップ外来を開設する病院が出てきたり、病棟や地域を巻き込んでPICS患者のサポートチームが形成されるかもしれません。ICU退室した後、病院から退院した後、誰がPICS患者のサポートを行なっていくのか、そこにICUスタッフが関わる必要性があるのか、まだまだ議論の余地や考えていく必要性はたくさんあると思いますし、病院だけではなく、地域も含めて巻き込んでいく際、誰がどこが中心となるべきかといった議論も必要になると思います。

ただ、言えることは「きっと、これからの未来、ICUで治療を受けた患者への介入方法はもっと変化し、クリティカルケアに携わる医療者の認識や考え方も変わっていく可能性(変えていく必要性)がある」ということかなと思います。

年末にこんな大きな話をしてしましましたが、来年も皆様にとって素敵なワーク&ライフになりますように! 忙しい中でも、充実感やワクワクを感じることができる1年になりますように! お祈り申し上げます!

来年も面白いコラムや文献などをご紹介していきたいと思います!来年も宜しくお願いいたします!!

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