1年目看護師のプリセプターをしている”プリ セプ太”。
1年目のちょっとおっちょこちょいの”慌 てるよ”ちゃんが泣きそうな顔をしながら、こんな報告をしてきました。

慌 てるよ:「せんぱ〜い、またせん妄患者さんに抜かれちゃいました。。。よりによって昨日、先生が1時間かけて取ったCVカテなんです。。。師長さんに報告、一緒に来てくださ〜い。」

プリ セプ太:「あの患者さんでか…orz 昨日、先生CV取れた後、顔げっそりしてたもんね。抜かれたのは仕方ない。一緒に師長さんに報告、行くか。」

慌 てるよ:「ありがとうございます!とても心強いですーーー!」

プリ セプ太:「師長さん…あの、とても言いづらいのですが、CVの自己抜去が起きてしまいまして…」

師長さん:「また慌てるよさん、自己抜去?ちょっと、もう少ししっかり注意しないといけないんじゃないの?インシデントと振り返り、よろしくね。それにしても、またせん妄患者さん?最近せん妄患者、多いんじゃない?ICUの患者さんで、せん妄を呈した患者さんがどれくらいいるのか調べることできない?」

さて、こんな依頼がありました。
皆さんはどのように調査しますか?
仮に、以下の3つの方法から選択する場合、どれを選択しますか?

①本日ICUに入室している患者を対象にせん妄の発生の有無を調査
”せん妄を呈している患者÷本日ICUに入室している患者”
で算出。

②本日から1ヶ月間ICUに入室した患者を調査
”せん妄を呈した患者÷1ヶ月間のICU入室患者数”
で算出。

③本日から1ヶ月間ICUに入室した患者を追跡
”せん妄を呈した患者÷追跡したICU患者の滞在日数の合計”
で算出。

さて、どれを選ぶでしょうか?
どれでもICUでせん妄を呈した患者さんがどれくらいいるのか表してはいます。
ただ、それぞれで意味が異なりますし、ちょっと悩んだ人もいるかもしれません。
それでは、それぞれ解説していきますね。

①本日ICUに入室している患者を対象にせん妄の発生の有無を調査。
”せん妄を呈している患者÷本日ICUに入室している患者”

これは手っ取り早く、簡単に調査することができますね。
ちなみに、算出された値を”有病割合(Prevalence)”と言います。
有病割合は、

”有病割合=ある一時点でのイベント発生数÷観察人数”

で求めることができ、「本日」という言葉があるように、一時点でのデータから算出されます。
このような調査方法のことを横断研究と言い、国勢調査などがこれに当たります。
有病割合や横断研究は、”手っ取り早い”ことがメリットで、つまり時間的・コスト的に効率が良く、要因によって比較できることができます。
しかし欠点として、一時点での結果であるため、対象者数が少ないことや、因果関係を検討することが非常に難しいことが挙げられます。

②本日から1ヶ月間ICUに入室した患者を調査。
”せん妄を呈した患者÷1ヶ月間のICU入室患者数”

この調査方法では手間がかかりますが、対象者も多く、わかりやすいですね。
この式で算出された値を”発症割合(Incidence)”と言います。
発症割合は、

”発症割合=イベント発生人数÷追跡された人”

で求めることができます。
そして、②のような調査方法のことをコホート研究といいます。
聞いたことがあるのではないでしょうか?
そして、このコホート研究では、確かに手間がかかりますが、因果関係を検討することができることがメリットです。

③本日から1ヶ月間ICUに入室した患者を追跡
”せん妄を呈した患者÷追跡したICU患者の滞在日数の合計”

これはどうでしょうか?
この式で算出された値を”発生率(incidence rate)”と言います。
えっ?これが発生率?”滞在日数の合計”が分母になってる?と思う方もいるかもしれません。
確かにちょっとわかりづらいですね。
発生率は、

”発生率=イベント発生人数÷追跡された人の時間の合計”

で求めることができます。

分母を見てもらうとわかりますが、発生率では”追跡された時間”が考慮されています。
というのも、追跡期間の間、対象患者のICUの滞在日数というのは人それぞれ異なりますよね。
それに、ICU滞在日数が長いほど、せん妄となる要因を受ける機会は増えるはずです。
この時間も考慮しましょう、というのが、発生率です。
というのも、「率」という言葉には、時間という概念が含まれており、注意が必要です。
そして、こちらもコホート研究を行うことで算出できます。

発生率という言葉なんて、ニュースなどでも使用される言葉ですし、日常的に用いるのは問題ないのかな?と、個人的には思ったりします。
しかし、調査や研究などで使用する場合、少し注意する必要がありそうですね。

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