ネーザルハイフロー(以下:HFNC)は、侵襲的もしくは非侵襲的な人工呼吸管理の前段階として、呼吸不全患者に対する酸素投与方法として活用されている。しかし、患者は高流量な酸素投与により不快な感覚が惹起され、持続的に装着することが困難な場面にもたびたび遭遇する。今回、そのようなHFNCの快適性を探るために、流量や温度を変更することで患者の反応を確認した文献があったので紹介する。

Impact of flow and temperature on patient comfort during respiratory support by high-flow nasal cannula:Mauri T, Galazzi A, Binda F,Crit Care. 9,22(1),120,2018.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5941611/

タイトル:高流量鼻カニューレによる呼吸補助中の患者の快適性に対する流量と温度の影響

要約

バックグラウンド:HFNCは、人体の温度に近い温度で最大60 l / minの加湿空気/酸素混合物を供給します。この研究では、より高い温度と流量により患者の快適さが低下するかどうかをテストしました。重度の患者では、より高い流量が快適性の改善に関連している可能性があると仮定しました。

方法:前向き無作為化クロスオーバー研究は、HFNCによってサポートされた40人の急性低酸素性呼吸不全患者(PaO2 / FiO2≤300 +肺浸潤+心原性肺水腫は除外)で実施されました。主要な結果は、流量と温度を上げてHFNCを送達する際の患者の快適性の評価でした。 2つの温度(31および37°C)と組み合わせた2つのフロー(30および60 l / min)を20分間ランダムに適用しました(患者ごとに4ステップ)。臨床FiO2は変更しませんでした。各ステップで視覚的数値スケールによる快適性が1(極度の不快感)から5(非常に快適)段階で記録され、それらと一緒に呼吸パラメータも記録されました。より重症の患者のサブグループは、臨床的FiO2≥45%によって定義されました。

結果:患者の快適性は、ステップ中にHFNCを30および60 l / minの両方に設定した場合(p <with0.0001)、37℃と比較して31℃(低温)だった場合に著しく高かったと報告されました。ただし、流量が多いほど快適性が低下することはありませんでした。臨床的FiO2≥45%の患者のサブグループでは、低温(31°C)と高HFNC流量(60 l / min)の両方が快適性を高めました(p <0.01)。

結論:HFNCの温度は、急性低酸素性呼吸不全患者の快適性に大きく影響するようです。均等な流れの場合、温度が低いほど快適になります。流量を増やしても患者の快適性は低下しません。より重度の低酸素血症患者の場合、低温(31°C)と高HFNC流量(60 l / min)による設定で快適さが向上します。

私見:HFNCを装着する際、患者の不快が強くて拒否されるケースも臨床では見受けられます。臨床的には流量が低い方が不快は低いのかなと考えて、装着開始当初は10→20→30l/minなどのように徐々に流量をあげて慣らしていくなどの方法をとることもありました。しかし、今回の研究では流量はあまり関係なく温度が関係していたとのことでした。ここで気になったのは「31度って低すぎない?」という疑問です。鼻元の到達温度が31度だと絶対湿度が低くて鼻腔が痛いのではないかと考えると、おそらくチャンバー温度が31度で、鼻元の到達温度が33度くらいではないかと推察されるのですが、文献にはそこまで詳しく記載はされていませんでした。 今後、臨床で不快の強い患者にHFNCを装着する際に、温度のことも検討してみようかなと思わせる文献でした。侵襲的な呼吸管理でなくても良いのなら、より低侵襲な管理で患者には過ごしてもらいたいですからね。患者のコンフォート(快)を検討すれば、せん妄リスクの低減や睡眠の確保など良い管理にもつながるかもしれませんね。

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