気がつけば3月になり、暖かい日が続くようになりましたね。冬物の上着では汗ばむ陽気もあり、春の足音も聞こえてきそうです。足音と言えば、皆さんは職場で音が気になったことはありますか?私自身、夜勤中の静かにしなければいけない状況になればなるほど、物を落として騒音を出してしまうことが多々あります。騒音によりICU入室患者の夜間の睡眠が妨げられるのはもちろんのこと、日中の身体・精神的安静にも影響が出てくると考えられます。そこで今回はICUに勤務する看護師が知覚する騒音と実際の騒音レベルについて研究された文献がありましたので、ご紹介させていただきます。

【文献】

Brittany Lynn White, Meg Zomorodi(2017)Perceived and actual noise levels in critical care units.Intensive and Critical Care Nursing 38; 18-23

【タイトル】

集中治療室における知覚騒音レベルと実際の騒音レベル

【序論】

集中治療室(ICU)は、重症患者に対して包括的かつ継続的なケアを提供する病院の専門ユニットである。ICU看護師の役割は、これらの重症患者が最適なケアを受けることを保証することである。ICU入室患者の睡眠不足の問題は明らかにされており、免疫機能の低下、精神状態の変化、ホルモン異常に関連している。また、睡眠不足は、転倒や薬剤・身体拘束の使用増加とも関連している。ICU入室患者の睡眠障害は、身体的問題や医療処置の他に光や音といった環境も要因になるとされており、静かで落ち着いた環境を作ることで患者の睡眠の質を向上させ、回復を促進させる可能性がある。先行研究では、ICU入室患者にとって医療機器のアラームとスタッフの会話は、睡眠障害の重大な要因であるとされている。WHOのガイドラインによると、夜間の最大音レベルは施設内で40dB、病室で30dBを超えてはならないとされている。しかし、耳栓、遮音、音響吸収材などを使用した介入はICU患者への騒音の影響を減らすが、実際の騒音レベルを下げる働きはない。つまり、実際の騒音を減らすためには看護師個々の教育と騒音発生行動の修正に取り組む必要がある。そのためには、看護師が知覚する騒音と実際の騒音の認識を調査する必要がある。

【研究目的】

ICU看護師が知覚する騒音レベルと実際の騒音レベルを比較すること

【研究方法】

 ■パイロット研究(n=18):騒音認識の評価ツールであるFamiliar Noise Sourcesの検討と修正

■対象者:米国東部にある6つの大学病院の看護師各3名

■データ収集方法

①ICUナースステーション・ロビー・カフェテリアにおける騒音の計測

②ICU看護師3名の知覚したICUの騒音について、Familiar Noise Sourcesを使用し聞き取り調査

③上記データを2回/日×3日間データ収集(n=108) 

■データ分析方法:データをもとにICUで看護師が知覚した騒音と実際の騒音の平均スコアを比較

【結果】

 データ収集中にICUナースステーション・ロビー・カフェテリアの騒音レベルの変動はほとんどなかった。全てのICUにおける騒音レベルはWHOの騒音推奨レベルの40dBより大きく、平均スコアは62.2〜62.7dBであった。また、看護師はICUの騒音レベルを実際の騒音レベルよりも高いと知覚していた。

【結論】

 この研究において看護師は、ICUの騒音を実際よりも高いと一貫して評価していた。これは、看護師がICU内で騒音を感じていたとしても、騒音を低減する試みは行われていないことを意味すると解釈できる。そのため、看護師に対して騒音の影響について教育する必要がある。

【私見】

 以前、「ICU入室患者は眠りたくても眠れない?」でもお伝えしましたが、PADISガイドラインでは「患者の睡眠」にも焦点が当てられ、われわれ看護師にとって「腕の見せどころ」であると私は考えています。しかし、今回の文献でもわかるように看護師はICUの騒音に気づきながらも低減する介入がなかなかできていないのではないでしょうか。夜間の睡眠の質を向上させるための看護介入として、耳栓の使用を患者と相談して行っている施設もあると思います。実際に私の所属する施設でも耳栓を使用することもあります。ただし、今回の文献でも述べられているように耳栓はあくまで耳に入ってくる騒音を低減するだけであり、ICU自体の騒音は低減しないということです。つまり、われわれ看護師だけでなく医師やコメディカル、清掃スタッフや外部業者などを含めた患者に関わる全てのスタッフに対して、騒音の影響について教育を行っていく必要があると考えます。皆さんの施設では、騒音の低減に対してどのような取り組みをされていますか?

画像出典:https://kodomoe.net/life/24110/



****************************************
KCCCのLINEが新しくなりました。
これまで登録いただいていた方も下記のボタンからご登録をお願いいたします!
文献紹介やコラムの更新情報、セミナー開催案等を通知させてもらっております。

下記のQRコードからでも登録できます。



Follow me!