【コラム144:糖尿病で感染症になりやすいのか?】

 ここ最近、世間ではCOVID-19(新型コロナウイルス)が猛威をふるい、テレビもネットもCOVID-19のことばかりです。私が看護師の就職活動を行っていた2003年には、重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)で大騒ぎになり、感染症の怖さを痛感したことを思い出しました。感染症は本当に怖いことで、早くこの流行が終息することを願うばかりです。

 さて、今回は糖尿病と感染症に関する話題です。糖尿病は感染症と強い関係があるのは皆さんすぐに頭に浮かぶと思います。敗血症患者の基礎疾患の20.1〜22.7%を糖尿病が占めるという報告もあることから、確かに強い関係性がありそうですね。

 ただ、本当に「糖尿病=感染症」という単純な話なのでしょうか?糖尿病患者はみんな、感染症になりやすいと思っていませんか?糖尿病と感染症の関係についてもう少し紐解いて解説してみたいと思います。  

 糖尿病患者が易感染症状態となる大きな原因として、白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下(殺菌能の低下など)し、病原菌と十分に戦えない状態となることが挙げられます。血糖コントロールが不良なほど免疫機能低下が低下し、血糖値が250mg/dL以上になると好中球貪食能が急速に低下するといわれています。他にも神経障害や血流障害といった糖尿病合併症も易感染症の原因といわれています。ということは、「糖尿病=感染症」なのではなく、本当は「高血糖=感染症」というべきなのではないでしょうか。さらに追加すると、感染症を起こすと、炎症性サイトカインやインスリン拮抗ホルモン(インスリンが効きにくくなるホルモン)が増加し、血糖値が高くなってしまいます。血糖値が高くなる→易感染状態→感染症を罹患→血糖値が高くなる、という悪循環にハマってしまうのが一番悪いことなのです。  

 では、どうすればいいのか?糖尿病だからしょうがないと諦めるのではなく、良好な血糖コントロールを維持できるように努めていくことが大切なのです!これは、感染症発症予防だけでなく、感染症重症化予防の観点からも重要です。既往に糖尿病があり、感染症を起こし熱が出ているのに血糖値を測っていない。よくあることですが、これによって隠された高血糖、感染症重症化につながっていると考えます。感染症重症化予防のために、消毒薬や抗菌薬の適正使用はもちろんですが、もしかして高血糖が原因かも…と思うときは、血糖測定を行ってみましょう。それが糖尿病患者さんの感染症重症化予防のために大切なことかもしれません。

参考文献

日本糖尿病療養指導士認定機構 編,糖尿病療養指導ガイドブック2019.

斧康雄.糖尿病患者の好中球機能異常.日本化学療法学会雑誌,2016,64(5),P735-41.

画像引用元:http://www.clpmag.com/2019/12/study-reveals-novel-model-predicting-uncontrolled-type-2-diabetes-mellitus/



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