〈KCCC文献紹介 第139弾:小児RRSについて〉

池辺諒. 小児病院における院内迅速対応システムの導入が患者安全に及ぼす効果, 日本クリティカルケア看護学会誌, 15, 12-18, 2019.

【目的】
入院患者の心肺停止を含む重篤有害事象を減らすことを目的に,A 医療センターでは 2017 年 12 月より院内迅速対応システム(Rapid Response System:RRS),Medical emergency team:MET を導入した。A 医療センターにおいて RRS 導入が患者安全に及ぼす効果と課題を明らかにし,RRS運用に関して検討する。

【方法】
MET コール症例の診療録から,MET コール件数,MET コール理由などのデータを後方視的に収集した。また,「危険な転棟」の発生数を主要アウトカムとし,RRS 導入前の 48ヶ月間,RRS 導入後の 9 ヶ月間で患者アウトカムを比較する前後比較研究を実施した。

【結果】
MET コール総数は 35 件。RRS 導入前後の「危険な転棟」は,RRS 導入後で減少しており,統計学的に有意であった(OR 0.419,95%CI 0.19-0.86,P=0.015)。

【結論】
RRS 導入後に「危険な転棟」が減少しており,病状悪化の早期発見・早期介入の重要性が院内に普及しつつある。RRS 導入の効果を正確に評価するためには長期的な情報収集が必要であり,今後も院内での教育・周知の徹底と合わせて RRS の評価を継続していく。

【私見】
本邦の小児病院からの RRS に関した報告です。小児領域の RRS に関した報告は、世界的にもごくわずかであり、アブストラクトだけでは分からないことも多いですが、本邦の小児病院の RRS の実情が垣間見れる報告となっています。
RRS では、主要評価項目として、予期せぬ死亡の減少などがよく挙げられますが、小児はそもそも院内死亡率が低い、年齢によりバイタルサインの基準値が異なるなどの背景があり、PICU がある病院で RRS が導入されているのは全国で約 4 割程度であり、まだまだ発展途上です。そのような中で、本報告では「危険な転棟」の発生数を主要アウトカムとするだけでなく、RRS 導入前後のシステム整備、MET コール基準を提示しているなど示唆的な報告となっています。ご興味のある方はぜひご一読を。



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