本日は先日出たばかりの、身体拘束を行う要因について調査した論文を取り上げたいと思います。

Abstractや本文を簡単に要約すると以下のようになります。

【目的】
重症患者における新規に行われた身体拘束の予測因子を調査することが目的である。

【方法】
米国の第三次医療センター5施設の成人ICUで行われた前向きコホート研究のデータを用いて二次解析を行った。身体拘束の使用は、日々の調査や電子カルテから調査された。混合効果ロジスティック回帰分析を用いて、新たな身体拘束と関連する因子を分析した。

【結果】
ICU入室48時間以内に身体拘束がなかった患者145名のうち、16.6%(24名)でICU滞在中に新たに身体拘束が行われていた。多変量解析の結果、せん妄 (オッズ比:5.09, 95%CI:1.83-14.14)、挿管チューブ(オッズ比:3.47, 95%CI:1.22-9.86)、ベンゾジアゼピンの投与(オッズ比:3.17, 95%CI:1.28-7.81)が新規身体拘束と統計学的に有意に関連していた。
一方、気管切開チューブが留置は、その翌日の身体拘束の減少と有意に関連していた(オッズ比:0.13, 95%CI:0.02-0.73)。

【結論】
本研究では、せん妄や挿管チューブ、ベンゾジアゼピンの投与がある患者は、翌日に身体拘束される可能性が高いことが明らかになった。

【私見】
さて、皆さんの臨床経験と比べ、どのような印象を受けるでしょうか?

この研究で、私が興味深い!と思ったのは、ICUでの要因の中で何が関連しているのか?ということを調査していることです。

というのも、まず対象者はICUに入室して48時間以上身体拘束がされていなかった患者が対象者となっています。つまり、元々は身体拘束が不要な状態であったことがわかります。そして、ICUでの処置や治療開始日と初回身体拘束の日にちのデータが収集されており、そのICUでの処置や治療開始の翌日に身体拘束が行われているのか、関連性が調査されています。

ちなみに、この研究ではRASS-1〜+1を目標に管理した患者とそうでない患者を比較して、どれだけ身体拘束を受けやすいのか?ということも解析されていますが、有意差は出ていません。ビックリですが不穏状態(RASS+2〜+4)であってもです。これには、二次解析のデータであるため、サンプル数の問題などもありますし、そもそもRASS-1〜+1にコントロールすることが難しかったことも考えられます。

さらに、驚いたのは、対象者は”48時間以上身体拘束がされていなかった患者”とされていますが、逆に48時間以内に身体拘束されていた患者はほぼ同数の145名であったことが表されています。

身体拘束は、ここ数年世間からも注目されているように感じます。昨年には、テレビ番組で身体拘束が特集され、「なぜ減らせないのか?」という議論がなされていました。

身体拘束はしたくはないけれど、この論文で挙げられている要因や組織文化的な要因もあり、研究をするには様々なハードルがありますが、このような研究が増えるといいですね。

一年前にも身体拘束について、文献紹介をしていますので、ご興味ある方はこちらも見てみてください!

文献:Predictors of New-Onset Physical Restraint Use in Critically Ill Adults

画像:NHKクローズアップ現代HPより、スクリーンショット

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4342/


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