<KCCC文献紹介第155弾:持続的なカフ圧の変化について>

Amer R Alzahrani , Shatha Al Abbasi , Othman Khalid Abahoussin , et al:Prevalence and Predictors of Out-Of-Range Cuff Pressure of Endotracheal and Tracheostomy Tubes: A Prospective Cohort Study in Mechanically Ventilated Patients. BMC Anesthesiol. 15,147.2015.

気管内および気管切開チューブの範囲外のカフ圧の確率および予測因子:人工呼吸患者における前向きコホート研究

背景:気管内チューブ(以下:ETT)のカフ圧を20〜30 cmH2O以内に維持することは標準的な方法です。研究の目的は、カフ圧を目標範囲内に維持する上での標準的な診療の有効性を評価することでした。

方法:三次医療集中治療室で行われた前向き観察研究です。呼吸療法士(以下:RT)が手持ち式圧力計でカフ圧を6時間ごとに測定しました。この研究では、研究RTが臨床RT測定の2〜4時間後にカフ圧をチェックしました。目標範囲の上下にあるカフ圧レベルにあった患者のパーセンテージを算出しました。同時に、低カフ圧の予測因子を特定しました。

結果:2120件のカフ圧測定を分析しました。平均カフ圧は、臨床RTでは27±2 cmH2O、研究RTでは21±5 cmH2Oでした(p <0.0001)。臨床RTは、98.0%のカフ圧が正常範囲内であったことを記録しました。研究RTは、カフ圧が正常範囲内であったのはわずか41.5%で、53%で目標範囲を下回り、5.5%で目標範囲を超えていることを特定しました。多変量解析において、低いカフ圧範囲はETTサイズが小さいほど(OR、0.5単位の増加あたり0.34、95%CI:0.15〜0.79)、ピーク気道圧が低いほど(OR 1 cm H2Oの増分あたり、0.93、95%CI:0.87–0.99)、より頻繁に特定されました。

結論:カフ圧は頻繁に目標範囲内に維持されず、通常の測定から約3時間後にカフ圧が低くなることがよくあります。低いカフ圧は、ETTのサイズとピーク気道圧の低下に関連していました。カフ圧を目標範囲内に維持するプロセスを再設計する必要があります。

私見:集中治療室では持続カフ圧計を使用することも多くありますが、一般病棟入室中の患者に対しては間欠的カフ圧測定が一般的です。一般病棟の患者をフォローしていると、明らかにカフが漏れているだろうと観察される症例をときに目にします。また、気管切開部からの経腸栄養様分泌物が出てきますとコンサルテーションを受けることもしばしばです。院内では、カフ圧管理の調整時間を4回/日(6時間毎)に設定しているのですが、この文献では6時間後の正常カフ圧範囲にあった件数は41%程度であったとのことなので、6時間毎では不足があるようです。
 それでは、全例3~4時間ごとに変更するかといわれると、それもまた違うような気がします。なぜなら、適切なカフ圧調整手技を習得していないとカフ圧計の脱着だけでもカフ圧は漏れてしまうと言われているからです(※)。カフ圧調整手技においては、カフ圧計の着脱時は三方活栓を閉じ、カフ圧計の内圧を30cmH2Oまで上げてから装着して調整するなどの基本的操作の徹底も必要です。そうでないと、不適切な管理による上気道内分泌物の下気道への垂れ込みの頻度が増えてしまう可能性があります。本文献を概観した上での個人的な感想としては、看護手順などの改訂を視野に入れるというより、不顕性誤嚥が必発するような個別性の高い症例において測定回数を6回/日に変更するなど適用できる内容かと感じました。もちろん、一般病棟で観察を続けてくれる看護師への根拠を交えた丁寧な説明をおこない、コンセンサスを得たうえで実施する必要があります。確実に臨床現場での手間は増えてしまいますので、臨床現場で実践をしてくれる方へのリスペクトを忘れずに、これらの知識を適用していきたいですね。
(※)露木 菜緒. 日本クリティカルケア看護学会誌.2010.6巻1号.P50-57. 

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