【KCCC文献紹介 第161弾:成人重症患者に対する高いSpO2、PaO2管理はだめ??】

Derek K Chu, Lisa H-Y Kim, Paul J Young, et al: Mortality and Morbidity in Acutely Ill Adults Treated With Liberal Versus Conservative Oxygen Therapy (IOTA): A Systematic Review and Meta-Analysis. Lancet. 2018 Apr 28;391(10131):1693-1705. PMID:  29726345

背景:急性疾患の成人患者には、多くの場合で酸素投与が十分にされていますが、この実践におけるエビデンスは不透明です。急性疾患の成人を対象とした制限のない酸素療法と保守的な酸素療法の有効性と安全性を系統的にレビューしました。

方法:急性疾患における酸素療法の改善(IOTA)の系統的レビューとメタアナリシス。コクラン中央登録対照試験、MEDLINE、エンバーゼ、HealthSTAR、LILACS、PapersFirst、およびWHO国際臨床試験レジストリを検索しました。2017年10月25日まで、急性疾患の成人(18歳以上)における制限のない酸素療法と保守的酸素療法を比較したランダム化比較試験についてレビューしました。慢性呼吸器疾患または精神疾患のある患者、体外生命維持を受けている患者、または高圧酸素療法または待機手術を受けた患者に限定された研究は除外されました。主な結果は、死亡率(院内、30日後、最長のフォローアップ時)と罹患率(最長のフォローアップ時の障害、院内感染性肺炎のリスク、院内感染症、入院期間)について、変量効果モデル(メタ分析)を用いて評価しました。

調査結果:25件のランダム化比較試験では、敗血症、重症疾患、脳卒中、外傷、心筋梗塞、または心停止の患者16.037人と緊急手術を受けた患者が登録されました。制限のない酸素療法の群では、SpO2中央値は96.4% (範囲:94.0–99.0%、IQR:95.8–97.8)、FiO2の中央値は0.52(範囲:0.28–1.00、IQR:0.39–0.85)、期間中央値は 8 h (範囲:1–144 h、IQR:4–24h)でした。保守的な酸素療法では、SpO2中央値は96.7% (範囲:93.4–98.0%、IQR:95.0–97.0) 、FiO2の中央値は0.21(範囲:0.21–0.50、IQR:0.21–0.25)でした。
保守的な酸素戦略と比較して、制限のない酸素戦略は院内死亡率(RR:1.21、95%CI:1.03-1.43)、30日後死亡率(RR: 1.14、95%CI:1.01-1.29)、最長のフォローアップ時の死亡率(RR:1.10、95%CI:1.00-1.20)を増加させた。罹患率の結果はグループ間で類似していた。調査結果は、試験的な順次分析、サブグループ分析、および感度分析に対して堅調な結果(外れ値の影響は少ない)でした。

結果の解釈:成人の重症疾患患者では、高いエビデンスにより、制限のない酸素療法が死亡率を増加させることが示されました。酸素投与は、94〜96%のSpO2範囲を超えると好ましくない場合があります。これらの結果からは、酸素療法の保守的な管理を支持しています。

私見:この研究結果を概観すると、SpO2の中央値にはそこまで差はないのですが、投与FiO2には大きな開きがあります。基本的には酸素はフリーラジカルによる組織障害などの毒性があるので、高濃度酸素投与はよろしくないといったところでしょうか?本研究以外にも、酸素療法のデメリットについて示している研究は複数ありますが、未だ多くの施設では臨床において高いSpO2やPaO2は容認されていると思われます。医療チーム内でコンセンサスを得た指標を用いて、患者管理の一助にしたいところですね。

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