【KCCC文献紹介第167段: 看護師の業務量が増加すると患者の院内死亡率が増加するって本当?】

皆さん

新型コロナウイルス対応などで日々お忙しくされていると思います。

今回は、この看護師の業務量に着目した研究をご紹介します。

これまで、看護師対患者比が死亡率に影響するといった報告がされてきました。看護師が受け持ちをする患者が1人増えることで死亡率が増加するといったものになります。確かに、患者が1人増えると業務量は増加するでしょう。ただ、軽症な方と重症な方の受け持ちでは業務量は異なります。ということは、患者の受け持ちが増えることが、業務量を正確に反映していない気がします、。個人的には、看護師1人当たりの業務量が計測できれば、より具体的に評価できるのにな!と思っていたところ、看護師の業務量(Nursing Activity Score)と院内死亡率との関連をみた研究を見つけたのでご紹介します!

ご紹介する文献:

Margadant, C., Wortel, S., Hoogendoorn, M., Bosman, R., Spijkstra, J. J., Brinkman, S., & de Keizer, N. (2020). The Nursing Activities Score Per Nurse Ratio Is Associated With In-Hospital Mortality, Whereas the Patients Per Nurse Ratio Is Not. Critical Care Medicine, 48(1), 3–9.

URL:http://doi.org/10.1097/CCM.0000000000004005

【目的】

ICUにおける看護師の仕事量は患者アウトカムにどう影響するか検討するため、平均または1日目における患者対看護師比率および看護師あたりの仕事量スコア(NAS: Nursing Activities Score)と院内死亡率との関連を分析した。

【方法】

⚫︎研究デザイン:集中治療評価データベースに対する後ろ向きコホート研究

⚫︎研究場所:オランダにある15集中治療室

⚫︎期間:2016年1月1日から2018年1月1日

⚫︎研究参加者:期間中にICUに入院したICU患者および

勤務しているICU登録看護師

⚫︎測定方法

・看護師 1 人当たりの平均患者数または 1 日目の患者数

・看護師 1 人当たりの看護活動スコア

・ICUにおける院内死亡率

※看護活動スコア(Nursing Activity score)

TISS(Theraputic Intervention Scoring Socre)では、含まれていない看護ケアがあるため、2003年にICUでの看護ケアをよりきちんと評価するために開発されたもの。

リンク先

Miranda, D. R., Nap, R., de Rijk Critical care, A., 2003. (n.d.). Nursing activities score. http://doi.org/10.1097/01.CCM.0000045567.78801.CC

=23項目=

⚫︎モニタリング

⚫︎血液検査

⚫点滴の使用(血管作動薬を除く)

⚫輸液負荷

⚫ドレーン管理(胃チューブ除く)

⚫清潔処置

⚫体位変換・モビリゼーション

⚫親族のサポート(電話応対やカウンセリングなど)

⚫入院や管理に関すること(勤務交代、入院手続きなど)

⚫呼吸器ケア

  ・人工呼吸器のケア

  ・人工気道ケア(挿管チューブ・気管切開など)

  ・呼吸ケア(呼吸リハビリ、インセンティブスパイロメータ)

⚫循環ケア

  ・血管作動薬の使用

  ・機器の使用

  ・スワンガンツカテーテルの使用

⚫腎臓ケア

  ・透析管理

  ・尿量測定

⚫神経系(頭蓋内圧モニタリング)

⚫代謝ケア

  ・血液ガスの評価

  ・経静脈栄養

  ・経管栄養使用

⚫ICU特有のケア

  ・挿管処置、ペースメーカーの挿入

   ・ICU外での手術、診断

⚫︎分析方法

ロジスティック回帰モデル

【結果】

・ICU入室1日目の看護師1人当たり看護活動スコアの平均値・看護師1人当たり看護活動スコアの平均値がいずれも41を超えると、院内死亡率が高くる

オッズ比

・ICU入室1日目の場合、1.19

・NASの平均値が41以上 1.17

・調整後も、1日目の平均看護師1人当たり看護活動スコアおよび看護師1人当たり看護活動スコアと院内死亡率は高くなる。

オッズ比

・ICU入室1日目の場合、1.29

・NASの平均値が41以上 1.26

・看護師1人当たりの患者比率は院内死亡率とは関連していなかった。

※「スコア41」ってどんな状態かちょっとわかりにくいので、例を作っています。全てが一律ではなく、スコアは活動量に応じて重み付けを変更している。

例:

・二時間ごとにバイタルサインを測定している(12.1)

・採血を実施(4.3)

・輸液管理(5.6)

・清潔処置(いずれの勤務帯でも二時間以上)(16.5)

・挿管管理(呼吸器の使用1.4、気道確保1.8、吸引などの処置4.4)

合計スコア:46.1

【結論】

看護師がICUで担当しなければならない患者数よりも、患者が生み出す看護業務量に焦点を当てることの方が重要であると結論づけた

【私見】

NAS(Nurising Activity  Score)を見てみると、清潔操作(ドレッシングの交換、褥瘡管理)や患者・家族のメンタルケアなどが多い患者はより看護活動がスコアが高くなるように設定していた。そのため、SOFA、APACHEⅡのような重症度スコアとは異なるスコアなんだと思う。

確かに、「看護師の忙しさ」は重症度と必ずしも関連している訳ではないと思う。清潔ケアが多かったり、カウンセリングや傾聴と言ったケアは、目には見えにくいケアだけど重要なケアの一つになる。そのためか「呼吸ケア」や「循環ケア」の方がスコア低くなっている。

当院では、TISS(Theraputic Intervention  Scoring Score:1978年に発表)を使用しているけど、NASの方がより看護活動を正確に評価できるかもしれないなという印象がある。

TISSもそうだが、こう言った指標をつけていくことで看護活動の可視化につながる。あそこの患者さん重症度は下がってきているけど、とってもケアが必要だとか。可視化ができればケアの再分配にもつながるかもしれない。

ゆくゆくは、NASを用いて、NAS高い患者とICUへの再入院率との関連性をみたり、NASと看護師の満足度調査などもやってみるのも面白いんじゃないかなと思います。もし、ご興味ある方は一緒に研究して、自部署の忙しさを可視化していくのもいいかもしれませんね!!

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