【KCCC文献紹介第168弾:遠隔授業の効果について】

吉田雅巳. 大学授業における対面グループ指導と遠隔グループ指導における交流の比較研究. 日本教育工学会誌 23,29−32, 1999.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmet/23/suppl/23_KJ00003905408/_pdf/-char/ja

はじめに

グループ指導を、教室で行う場合と教師が離れて遠隔で行う場合の、生起する学習環境の比較実験を行った。
実験では大学生を、5名ごとのチームに編成し、1名の教師役の学生が4名の生徒役学生に対してグループで協調して取り組む課題を与え、それぞれの環境で各4回のセッションを行った。
そして、記録VTRより相互作用分析と介入分析を実施し、コミュニケーションの違いを分析した。

分析方法

旧来型の「相互作用分析」と、「介入分析 (グループ学習が学習者中心学習か教師中心学習 かを判定する基準として、ヘロンは5つのカテゴリーを提案し、それらで教師が学習に介入する行動を判定することにより、生起している学習を知る方法) を行った。ここで、カテゴリーE ・SEは学習を引き出すための教師の介入、カテゴリーC・P・Iは 情報を提供するための教師の介入である。本研究では、ヘロンのこの5つの分析カテゴリーを用いて2種のグループ協調学習での学習場面の特性分析を実施した 。

介入分析カテゴリー

結 果

「対面でのグループ協調学習では教師からの働きかけが多く見られた」、 「遠隔でのグループ協調学習では、学習者が教師との個人的コミュニケーションを助長することなく、学習者間の議論に集中した」という知見を得た。

私見

こちらの報告の発表年を見て下さい。なんと20年以上も前の論文です。でも、知見は今でも十分活用できる内容ですね。遠隔が良いのか、対面が良いのか、という2者択一の問題ではなく、学習設計が重要であることを示唆しています。
今年は学校教育だけでなく、院内研修等もリモートで行われていることが多いかと思います。遠隔であっても、授業・研修デザインが意図的に設計されたものであれば、学習者の思考を促進し、学習活動に集中できる、ということですね。

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