眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)と混合性睡眠時無呼吸です。
なかでも今回は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)についてです。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のリスクファクターとしては
- 扁桃腺、咽頭扁桃腺の大きい子ども
- 首回りが17インチ(約43㎝)以上の男性
- 首回りが16インチ(約40㎝)以上の女性
- 気道を遮断するほどの大きさの舌
- 下顎後退症もしくは下顎が狭い
- 口蓋が狭く容易に気道が虚脱する
があげられます。
OSAは上記のリスクファクターなどから、眠っている時に喉の空気の通り道がふさがり呼吸ができなくなる疾患です。全身の臓器に低酸素による障害を及ぼすことで心不全や心筋梗塞、脳卒中などの心血管イベントのリスク上昇に関連しているとされています。OSAに対する主な治療としては持続陽圧呼吸(CPAP)があります。睡眠時に鼻マスクから持続的に空気を送り込むことで、空気の通り道がふさがることによる夜間の低酸素を予防します。OSAに対するCPAP療法については循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008~2009)でも心血管イベントに対する一時的予防についてクラスⅠエビデンスレベルBとなっています。ただし、CPAPを行うことで心不全や心筋梗塞、脳梗塞による死亡や再発、再入院が予防できるかというエビデンスレベルの高い研究は実施されていませんでした。
結果はCPAP群と通常のケア群では心不全や心筋梗塞、脳梗塞などによる死亡や再入院、心血管系のイベントに優位な差を認めないとの結果でした。論文を読んでみると推奨されているCPAPの夜間使用時間よりも装着時間が短い(一般的に4~5時間)ことは少し気になる点ですが、夜間の無呼吸、低換気イベントは明らかに減少し、日中の眠気なども改善を認めており、OSAに対する治療としての効果は得られていると考えられます。
つまり、心血管疾患を持ったSAS患者の夜間の無呼吸、低換気イベントをCPAPを用いて予防したが、心不全や心筋梗塞、脳梗塞による死亡や再発、再入院の予防には繋がらなかったとのことでした。
私見にはなりますが、今回の論文の対象のように慢性疾患を持った患者の死亡や再入院を予防することは容易なことではありません。便利な機械があれば色々な期待をかけてしまいがちですが、これらの予防にはやはり患者の自己管理行動へのアプローチを根気よく行うことが近道なのかもしれません。
引用:http://www.healthline.com/health/sleep/obstructive-sleep-apnea#Overview1
画像1:http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1606599
画像2:http://www.philips.co.jp/healthcare/product/HCNOCTN396/se-