【コラム126:ICUにおける体重測定って正確なの?】

【コラム125:体重測ってますか?】に引き続き、体重測定に関するコラムです。
ICUで体重測定を行う際、留置されたラインやチューブ(ライン類)によって測定誤差が生じる可能性がありますね。しかし、体重測定時のライン類の取り扱いに関して一定の見解はございません 。また、測定法の違いにより測定値の正確度がどの程度影響を受けるかも明らかにされていません。
村田らによると…
①スケールベッド・懸架による体重測定時に、ライン類を保持しなければ、立位による測定を対照とした体重測定誤差の平均値が1.0 kgを超える
②ライン類を保持すると測定誤差は減少する
③スケールベッドの正確度が懸架による体重測定よりも誤差が少なかった
とのことです。ICUにおける体重測定では、スケールベッドを使用し、統一された方法でライン類を保持すれば、より正確度の高い体重測定を実施できるようですね。ただし、スケールベッドはどの施設でも導入されているわけではないので、各施設の実情に合わせた方法を検討しなければいけないですね…
ICUでは、水分バランスの一つの指標として体重測定値の増減を評価していますが、先行研究によると体重測定の増減と計算で求めた水分バランスの相関関係は弱いということも明らかになっています。
体重測定はマンパワーも必要とし、ルーチンワークとしては非常に労力のかかることですが、本当に体重の評価が必要な患者を選定し、統一した方法で測定を実施することが大切だと言えそうですね。
引用・参考文献
村田洋章, 本田 康裕, 山口庸子 ほか. ICU における体重測定は正確か?日集中医誌 2017;24:639-40. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/24/6/24_24_639/_pdf
Eastwood GM. Evaluating the reliability of recorded fluid balance to approximate body weight change in patients undergoing cardiac surgery. Heart Lung 2006;35:27-33. Schneider AG, Baldwin I, Freitag E, et al. Estimation of fluid status changes in critically ill patients: fluid balance chart or electronic bed weight?. J Crit Care 2012;27:745. e7-12.